【No.52】たばこ状の砂糖菓子を詰まらせ、2歳の子どもが窒息して死亡!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

2歳の男の子が「たばこ状の円柱の砂糖菓子」を詰まらせて窒息する事故が発生しました。
救急搬送された男の子の呼吸は一時回復しますが、入院3日目に死亡しました。

今回のお菓子に限らず、乳幼児による誤飲・誤嚥の窒息事故はどのご家庭でも起こり得る事故です。それぞれのご家庭で対策方法を学び、万が一に備える必要があります

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2014年4月22日の午後8時10分頃、男の子(2歳2ヶ月)は「たばこ状の円柱の砂糖菓子」を父母からもらいました。男の子は家の中ではしゃぎながら走り回っており、祖父母のいた居間へと走り込んだ際に様子がおかしくなりました。祖父母が「何か喉に詰めたようだ」と声を上げ、父母は苦しがる男の子を見つけました。

窒息したと考えた母親が口の中に手を入れると、喉の奥の方で折れた棒状のものの端に指先が触れました。母親はそれが「たばこ状の円柱の砂糖菓子」ではないかと考え、取り除こうとしますがうまくいかず、そのうち指先に触れなくなりました。
続けて掃除機を用いて吸い出そうとしますが、男の子の顔色が紫色になりぐったりしたため、119番通報しました。父親は消防指令課の口頭指導を受け、祖父が胸骨圧迫を行いますが状況は変わりませんでした。

救急隊の到着時、男の子は心静止でした。心肺蘇生を継続し、換気抵抗があるため喉頭展開を試みますが、異物は視認できませんでした。心肺蘇生を継続したまま病院へと搬送しました。

病院の治療・手術

病院到着時、男の子は心静止でした。すぐに気管挿管を行いますが、異物は目視できませんでした。気管挿管後は換気良好となり、自己心拍が再開しました。救急隊による心静止確認から自己心拍再開まで 52分が経過していました。

その後、男の子は設備の整った大きな病院へ搬送されました。
男の子の呼吸は維持されていましたが、身体にはたくさんの問題が生じていました。入院3日目、男の子は徐脈から著しい低血圧を来たし、死亡しました。

予防と対策方法

今回の事故の原因となった「たばこ状の円柱の砂糖菓子」の長さは52mm、直径は6mmでした。
一般的な3歳児の口腔内のサイズ(口径 39mm、のどの奥まで51mm)からすると、丸呑みは難しいです。しかし、実際に母親が指先に触れたように、折れたお菓子を誤嚥する可能性は充分にあります。
また、男の子の同年代(1歳 9ヶ月~2 歳6ヶ月)の気道系の基礎疾患がない子どもたち28名で撮影された胸部CT をもとに、声門から気管分岐部までの最小径を調べたところ中央値は5.8mm(最小4.4mm、最大6.7mm)でした。男の子は平均よりも少し小柄だったため、窒息の可能性は充分にあり得る状況でした。

今回のような事故が起こさないため、メーカーはお菓子にあらかじめ通気孔を作っておく必要があるといえます。例えば、類似する誤嚥の事故に筆記用具のキャップがあります。こちらは過去に鉛筆のキャップを誤嚥した結果窒息した事例があり、国際規格(ISO 11540)を経て日本工業規格(JIS S 6060)により「6.8㎟以上の断面積をもつ空気通路がなければならない。」と、通気孔を作ることが規定されています。

ご家庭できる対策としては、子どもに動きながら食べることを注意し、危険である認識を持たせることです。繰り返し伝え、実践学習させていきましょう。

また、もし子どもに窒息の可能性がある場合は、以下の処置を行いましょう。

「あめ玉」などを飲み込んで窒息の可能性がある場合の対処方法
出典:窒息 | こどもの救急
1歳未満の乳児の場合

意識がある場合:「胸部突き上げ法」と「背部叩打法」を数回ずつ交互に行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

1歳以上の幼児の場合

意識がある場合:「腹部突き上げ法」を行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.052 円柱状の砂糖菓子による窒息.pdf

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