【No.48】3歳の子どもがボールペンのキャップを誤飲!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

3歳の女の子が、ボールペンのキャップを飲み込んで摘出手術をする事故が発生しました。
最終的に女の子は入院4日目に退院し、元気に過ごしています。

乳幼児が身近なものを口に入れて誤嚥・誤飲する事故は、どのご家庭でも起こる可能性がある事故です。それぞれのご家庭で対策方法を学び、万が一に備える必要があります

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2014年9月7日の午前10時25分、女の子(3歳1ヶ月)が居間にて、画用紙にボールペンで絵を描いて遊んでいるのを母親は確認しました。

10時30分頃、母親が居間の隣の台所で家事をしていると突然女の子の泣き声が聞こえ、様子を見に行きました。初めは「目が痛い」と訴えていましたが、すぐに咳込み出し、呼吸が苦しそうになりました。

周りを探すとキャップ(以下画像の矢印部分)のないボールペンがあったため、「何か飲み込んだのか?」と尋ねると「飲み込んだ」 と答えました。

3歳の子どもが誤飲したボールペンのキャップ

咳が激しく、顔色も悪くなったため、母親は救急車を呼びました。救急隊が到着した時、女の子はチアノーゼが確認でき、SpO2 85%と低酸素血症の状態であったため、酸素投与下で病院へ搬送されました。

なお、ボールペンはキャップと離れない作りになっていましたが(以下画像参照)、女の子が歯で噛んで飲み込んでしまったようでした。

3歳の子どもが誤飲したボールペンのキャップ

病院の治療・手術

病院に到着した時、女の子は息を吸い込むとき胸の一部が陥没する陥没呼吸の状態でした。

CT写真の撮影で状況を確認後、左主気管支の完全閉塞と異物を疑う高吸収値域ならびに左無気肺が認められ、全身麻酔下に気管支鏡で異物摘出術をしました。

異物は無事に摘出され、摘出後の合併症はありませんでした。女の子は入院4日目に退院となり、退院後は呼吸器症状の出現はなく元気に過ごしています。

なお、この事故による直接医療費は、841,780円だったとのことです。

予防と対策方法

日本小児科学会によると、3才前後の幼児の最大開口口径は39mm(大きく口を開いた時のサイズ)です。このサイズ以下の製品は簡単に幼児の口の中に入り、それが咽頭や喉頭部に陥入して窒息が発生します。

今回の事故に至ったボールペンのキャップは、長径19㎜、直径6㎜でした。乳幼児は鉛筆やペンなどを噛む傾向があるため、誤飲の可能性を考慮して、お絵描き用の筆記用具を選んであげる必要があります。

3歳くらいのお子さんのお絵描きには、大きなクーピーがおすすめです。三角形の形で持ちやすく、クレヨンのように手を汚すこともなく、綺麗な発色で折れにくい製品です。

ご家庭でできる誤飲の対策は、子どもの身の周りにある小さなの製品は誤嚥や窒息の危険性があるため、子どもの周辺から除外することです。

もし子どもに窒息の可能性がある場合は、以下の処置を行いましょう。

「あめ玉」などを飲み込んで窒息の可能性がある場合の対処方法
出典:窒息 | こどもの救急
1歳未満の乳児の場合

意識がある場合:「胸部突き上げ法」と「背部叩打法」を数回ずつ交互に行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

1歳以上の幼児の場合

意識がある場合:「腹部突き上げ法」を行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.048 水風船の誤嚥による窒息 / No.48・No.52 類似事例.pdf

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