11歳の女の子が自転車で転倒し、救命救急センターへ搬送される事故が発生しました。
女の子は転倒した際にハンドルで腹部を強打し、病院では肝損傷の状態となっていました。
最終的に女の子は無事に退院しましたが、ハンドルに傘を掛けていたことが原因の事故で、心当たりのあるお子さんも大人の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。
小学生のお子さんに自転車を与えている親御さんも多いと思います。お子さんと約束事を設け、同様の事故が起きないように対策しましょう。
目次
事故発生の原因
春休み中、11歳の女の子は塾へ行くために自転車(いわゆるママチャリ)で歩道を走っていました。
この時、速度は約15Km/時ほど出ていたとのことです。
その後、走行中にハンドルに掛けていた傘が前輪に引っかかって転倒しました。女の子は左前腕を打撲し、右腹部をハンドルの先端で強打しました。
3時間後、腹痛が持続するため病院を受診し、腹部CTにて肝損傷を指摘されて救命救急センターに搬送されます。
病院の治療・手術
来院時、胸腹部エコーによる出血スクリーニング(FAST)では異常がありませんでしたが、腹部造影CTにて中心性破裂型(Ib)の出血を伴う肝損傷がありました。
造影剤の漏出は無く、貧血の進行やショックバイタルもなかったため、輸血やTAE(経動脈性塞栓術)、開腹止血は実施されませんでした。
翌日、貧血の進行は認められなかったため、保存的療法のみで軽快退院しました。
予防と対策方法
平成20年6月1日より施行された「新道路交通法」では、自転車は自転車専用歩道がない場合は車道を走ることになっています。
今回の事故では、女の子は狭い歩道を走行していたため、傘が何かにぶつかって前輪にはさみこまれた可能性があります。
今回のような事故を起こさないためには、自転車のハンドルには物を掛けないことが理想です。お子さんに転倒を誘発する可能性があることを伝え、ハンドルには物を掛けないように徹底しましょう。
さらに安全に考慮するのであれば、乗車中の頭部外傷を予防するヘルメットの着用も有効です。
日本小児科学会によると、今後の自転車には物を掛けにくいハンドルにすること、転倒しても安全な形状のハンドルにすること、前輪に物が挟み込まれないような構造にすることなどが望まれています。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.006 自転車のハンドルによる肝損傷」