【No.53】声が変わるヘリウムガスを吸った12歳の子どもが意識障害に!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

12歳の女の子が、声が変わるヘリウムガス入りのスプレー缶を吸引して倒れる事故が発生しました。
最終的に女の子は後遺症が残る可能性もあり、リハビリも必要となっています。

ヘリウムガス入りのスプレー缶は、パーティグッズとして人気ですが使用には注意が必要です。子どもが気軽に手を出せる製品でもあるため、ご家庭で対策方法を学び、万が一に備える必要があります

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2015年1月28日の午後6時頃、女の子(12歳5ヶ月)は番組の共演者と合わせて5人で横に整列していました。正面にはテーブル置かれており、その上にはヘリウムガス入りのスプレー缶(容量は5,000cc、一回用、大人用の記載あり)が5つ置かれていました。向かいに司会進行のアナウンサー、その周りにはテレビ局関係者、その他共演者が21人いました。

ヘリウムガス入りのスプレー缶は、1本のみが充填されたもので、残りの4本は事前にガスを抜いた空のスプレー缶でした。5人で同時にガスを吸い、一人の声が変わるという、いわゆるロシアンルーレットのようなゲームでした。5人のグループは一番初めにゲームをしましたが、誰がヘリウムガスを吸ったのか分からず、やり直しとなりました。

やり直しのゲームのとき、事故が発生しました。
女の子はテーブルに置かれたヘリウムガス入りスプレー缶を右手に持ち、左手で鼻をつまみ、司会者の合図で口にくわえて吸引しました。4秒ほどして缶を口から離した直後から右手を震わせ始め、約5秒後に後方へ卒倒しました。受け身は取れずに後頭部を強打し、全身性強直性間代性けいれんを起こし、速やかに救急要請されました。

病院の治療・手術

救急隊の到着時、女の子には軽度の意識障害と低酸素血症がありました。女の子は酸素投与を受けながら病院へ搬送されました。

女の子は検査後、意識障害が回復しないためICUに入室しました。
入院翌日も意識障害は続き、左半身には痙攣がありました。入院2日目、脳波異常が改善し、意識状態の改善が徐々にみられました。入院6日目、再び痙攣し、頭部MRIでは異常が見られ、別の病院へと転院します。高圧酸素療法で左半身の麻痺の改善傾向、自然開眼するなどの改善が認められ、ヘリウムガス吸引をきっかけとした脳空気塞栓症と診断されました。

翌月にも治療は続いており、高次脳機能障害を残す可能性があると判断され、早期のリハビリ介入が検討されました。

類似傷害・事故

2015年6月28日、男の子(8歳11ヶ月)は声を変えて家族を驚かせる目的で、大型量販店でヘリウムガス入りスプレー缶(容量11.6L、複数回用、使用年齢は10歳以上と記載あり)を父親と購入しました。

家の前の車の中、男の子は息を吐いて鼻をしっかりつまみ、父親の手助けのもと3秒間程ヘリウムガスを吸引しました。直後、男の子はうずくまり、頭痛・胸痛を訴えました。立ち上がるとふらつきがあり、足には力が入っていませんでした。5分後に力が入るようにはなりましたが、頭痛・胸痛が持続するため病院を受診しました。

病院の検査では特に以上がありませんでしたが、男の子の頭痛・胸痛は持続しており、嘔吐もありました。
3時間後、症状は改善していきました。入院 2日目には症状が消え、入院5日目に退院しました。

予防と対策方法

ヘリウムガスは人体に無害で声が変わる性質を持っており、ヘリウムガス入りスプレー缶(ヘリウム80%,酸素20%)は、パーティーグッズとして世界的に広く販売され人気を博しています。

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注意!対象年齢16歳以上

事故の原因となったヘリウムガス入りスプレー缶のガス容量は5,000cc、缶の表面には「大人用」と書かれていました。事故にあった女の子の肺活量の推定から、ヘリウムガス吸引中に肺容量が最大に達していたと思われます。鼻をつまみ、ノズルの先端をしっかりくわえて吸い込んだため、ガスの逃げ場がなかったことも、事故の要因のひとつだと思われます。

ヘリウムガスの危険性は、2011年から「Journal of Forensic Sciences」が発表しています。
調査によると、オーストラリアでは 2005年7月から2009年12月までの間に79人が死亡しています。また、2013年にはイギリスで62人が死亡しており、死亡事故が増えている傾向にあります。

日本中毒情報センターによると、ヘリウムガスを吸ったことによる事故の相談は2001年4月から2012年3月までに 32件あり、患者の年齢は5歳以下が13件、6~12 歳が18件、成人が1件と報告されています。その半数にあたる16件で意識消失、嘔吐、顔面蒼白、気分不良などの症状が出ています。

ヘリウムガス入りスプレー缶は、テレビやソーシャルメディアなどでコメディアンやタレントが使用しており、それを見た子どもがマネをしています。
ヘリウムガス入りスプレー缶は、事故が起きている以上、基本的には使用を避けるべき製品であるといえます。もし使用する際は、必ず対象年齢を確認し、満たしている場合のみ使用しましょう。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.053 ヘリウムガス入りスプレー缶の吸引による意識障害.pdf

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