1歳の男の子がウイルス除去剤の薬を誤飲する事故が発生しました。
最終的に男の子は1週間の入院の後、無事退院しました。
日本小児科学会によると、生後6ヶ月を過ぎた乳幼児はつかんだ物を何でも口に入れるため、薬品の管理には注意が必要です。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2013年2月15日、男の子(1歳9ヶ月)が発熱し、小児科でインフルエンザの診断を受けました。
両親は3歳の娘などに感染しないよう、市販のウイルス除去剤を初めて購入しました。
購入したウイルス除去剤を使用するには準備が必要で、自宅の台所で説明書通りにボトル容器の蓋を開けて付属の顆粒を投入しました。すぐに蓋を閉めずに待つように記載されていたため、少し待っていました。
購入したウイルス除去剤を準備している途中、3歳の娘に呼ばれてトイレに向かいました。
トイレから戻ると男の子が小さな椅子を台にして、台所の上に置いてあったボトル容器を持って苦しそうな顔をしていました。
ボトルの口には水滴がついており、誤飲の可能性がありました。
しばらく様子を見ていると嘔吐が始まり、顔色も悪くなってきたため救急隊を要請しました。
病院の治療・手術
救急隊の到着時、男の子の顔色は不良で吐物から薬品の臭いがあり、薬物誤飲が疑われました。
検査後、男の子は人工呼吸管理のためPICU(小児集中治療室)に入室となりました。
病院での処置により1週間後の2月21日に男の子は後遺症を残すことなく退院しました。
なお、直接医療費は659,320円だったとのことです。
予防と対策方法
現在、ウイルスを除去する製品は一般家庭でもメジャーなものになりました。
ウイルスを除去する製品には、液体成分をスプレーとして使用できるものがあります。事故の発生した当時にもこのような製品があれば、誤飲の可能性は少なかったと言えるでしょう。
しかし、スプレータイプの製品でも誤飲の可能性はゼロではありません。
また、今回のようなウイルス除去剤に限らず、ご家庭できる薬の保管方法や安全対策は乳幼児の薬品へのアクセスを困難にすることです。
薬品は乳幼児の手の届かない場所に置くか、鍵付きの収納ボックスなどに入れて保管するようにしましょう。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.040 ウイルス除去と称されている製品の誤飲による中毒」