キックスクーターで遊んでいた5歳の女の子が顔面から転倒する事故が発生しました。
最終的に女の子は無事でしたが、ひどい怪我を負って9回の外来通院をすることになりました。
キックスクーター(キックスケーター/キックボード)の事故は日本だけでなく海外でも起きており、使用には注意が必要です。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2012年8月10日の午後3時00分ごろ、女の子(5歳)は友人と一緒に友人宅のガレージ内でキックスクーターに乗って遊んでいました。周囲に大人はいませんでした。
キックスクーターで走行中に側溝(グレーチング)に前輪がひっかかり、女の子は顔から地面に転倒しました。
その後、友人の母親からの連絡で現場に駆けつけた母親とともに救急車で搬送されました。
病院の治療・手術
来院時、女の子の意識はハッキリしており、バイタルサインも安定していました。
外科では、鼻・頬・唇に打撲や怪我を確認しましたが骨折などもなく、外来通院での治療となりました。
歯科では、複数の歯がグラグラしていることが確認されました。亜脱臼歯の整復および隣接歯と固定の上、外来通院での治療となりました。
その後の9月13日、歯の緩みが未だにが著しく、新たにレントゲンで歯根破折が確認された1歯を局所麻酔下に抜歯しました。
9月20日、終診となりました。(8月10日〜9月20日の間の外来通院は9日間)
なお、直接医療費(外来医療費)は81,320円だったとのことです。
予防と対策方法
キックスクーター(キックスケーター/キックボード)は1990年代から人気が出た乗り物であり、手軽に乗れるかつ携帯性に優れていることから、子どもから大人まで幅広く使用されています。
しかし、キックスクーターの使用者が車両に接触する事故、歩行者に接触したことによる死亡事故も報告されています。
道路交通法上では「遊具」に相当するため、使用方法に関する明確な安全基準や規制がないのが現状です。
キックスケーター協会は、急な坂道や長い坂道では乗らない、排水溝や段差がある通りではやらない、人通りの多いところでは乗らないなどを提示しています。
今後、事故を未然に防ぐためには製品の改善や安全講習が必要かもしれません。
ちなみに、アメリカ合衆国カリフォルニア州では、キックスクーターの使用中はヘルメットの着用が義務づけられています。
キックスクーターに乗る際はヘルメットの着用や肘や膝用のパッドを使用するようにしましょう。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.038 キックスクーターによる顔面外傷」