【No.34】歯ブラシがのどに刺さり4歳の子どもが救急搬送!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

歯ブラシがのどに刺さり、4歳の男の子が救急搬送される事故が発生しました。
男の子は歯みがきをしており、転倒した拍子に歯ブラシがのどに刺さりました。

歯ブラシに起因する乳幼児の事故は毎年起きており、保護者には歯ブラシが危険だという認識が必要です。

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2012年1月27日の午後5時30分ごろ、男の子(4歳)は夕食後に洗面所で歯磨きをしはじめました。
母親が居間に移動したため、男の子も母親の後について居間に移動し、1人掛けソファの袖の部分(50cmの高さ)に立って歯ブラシをくわえていました。

しばらくして男の子の泣き声が聞こえて母親が振り向くと、男の子は歯ブラシを口にくわえたままフローリングの床にうつ伏せに転倒していました。
男の子を仰向けにしたところ、歯ブラシの柄の部分が口から見えており男の子は唸っていました。

母親は慌てて突き刺さっている歯ブラシの柄の部分をつかんで2~3回引っ張りました。その時、歯ブラシが引っかかる感じがありました。抜き取った歯ブラシの先端(約3cm)が無く、口の中には何も残っていませんでした。母親は救急車を呼んでいいのか分からず、#7119に連絡したところ「救急車の要請」を指示され、男の子は救急車で搬送されました。

#7119(救急安心センター事業)とは、急なケガや病気をして「救急車を呼んだが方がいいのか?」「今すぐに病院に行った方がいいのか?」など、判断に迷った際に専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口です。

事故の原因となった歯ブラシは、1ヶ月以上(長くても2~3ヶ月程度)使用したものでした(以下画像参照)。

母親の当時、「このような事故は初めてである。割り箸が刺さった事故もあり、危ないなと気をつけてはいたが…」と話をしていました。

病院の治療・手術

病院へ到着した男の子は小児科を受診し、胸部XP、腹部CTの検査をしました。異物は確認されず、経過観察で良いと指示されました。

翌日、家族が心配して耳鼻科を受診しました。頭部単純CTを施行したところ異物が認められ、毛がついているように見えるため、歯ブラシの可能性が示唆されました。

その後、男の子は救急車で他の病院へ搬送されました。男の子の意識はしっかりしており、歩行などに問題はなく、話しをすることもできました。気道、呼吸、循環にも異常はありませんでした。
男の子は入院し、全身麻酔下にて摘出術が行われました。摘出された歯ブラシ先端部は約2.5cmでした。

類似傷害・事故

1歳9ヶ月の男の子が歯ブラシをのどに刺す事故も起きています。

夕食後、男の子は歯ブラシをくわえたまま母親の背中に勢いよく抱きつきました。歯ブラシは男の子ののどに刺さり母親は慌てて抜きました。しかし、口を閉じることができず、よだれが垂れ流しの状態であったため救急外来を受診しました。

男の子は歯科・口腔外科において頬の脂肪体の損傷を伴う右頬粘膜損傷と診断され入院しました。
翌日、全身麻酔下で手術をし、3日で無事に退院し術後の経過も良好です。

予防と対策方法

歯ブラシに起因する事故は毎年起きています。

東京消防庁のデータによると、2006年から2010年の5年間に5歳以下の乳幼児が歯ブラシの事故で搬送された事例は217件あります。つまり、3〜4件/月のペースで事故が起きていることになります。
原因は、歯磨き中の転倒が一番多く148人、次に歯磨き中に人やものにぶつかるが23人踏み台からの転落が11人と続いています。

つまり、歯ブラシに起因する事故の発生状況は日常的に存在しており、いつでもどこでも起こりうる事故といえます。
保護者は歯ブラシは危険という認識を持ち、また子どもにも伝える必要があります。少なくとも歯磨き中に、自由に歩き回らないようにしましょう。

似たような事故が頻発しているため、歯ブラシ自体の改善も検討されています。
歯ブラシが深く口腔内に侵入することを防ぐリングを装着したもの、柄の材質を軟らかなものにするなど製品開発が進んでいます。

1歳頃〜

今後、乳幼児が使用する歯ブラシに関しては業界規準を作成し、予防の工夫がなされているもののみ製造販売されることになる可能性があります。

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出典:公益社団法人日本小児科学会「No.034 歯ブラシによる口腔内外傷(事例1)」「No.034 歯ブラシによる口腔内外傷(事例2)

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