【No.26】3歳の子どもがベビーカーに指を挟んで切断!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。刺激に弱い方は閲覧をご遠慮ください。

ベビーカーに女の子(3歳)の指が挟まり、小指の先端を切断する事故が発生しました。
父親はベビーカーが開ききっていない状態で女の子を乗せてしまい、慌ててブレーキペダルをロックしたところ、女の子の指が挟まってしまいました。

女の子の小指の欠損は先端の3mmで済み、指の動きには問題がないとのことです。同様の事故は日本だけでなく海外でも起きており、ベビーカーの使用には注意が必要です。

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2011年4月20日の午後6時30分ごろ、父親は女の子(3歳)のために折りたたんであるベビーカーを開きました。父親はベビーカーが開ききったと思い、女の子をベビーカーに座らせました。

しかし、ベビーカーのシートが沈んだため、慌ててブレーキペダルを踏んでロックしました。この時に女の子の指がヒンジ部分に挟まり、ロックを解除したら小指の先端部が3mmほど欠損していました。

父親によると、ベビーカーには指挟みの防止の布製カバー(ヒンジカバー)は付属していなかったとのことです。
このベビーカーはアメリカ合衆国でリコールが起きた製品であり、日本ではリコールはなかったもののヒンジカバーの配布がありました。しかし、父親は知らなかったとのことです。

病院の治療・手術

女の子は病院へ搬送され、医療処置をされて帰宅しました。

事故から約1ヶ月半過ぎた時点では、欠損した小指はほぼ上皮化じょうひかしており、指の動きに問題はないとのことです。

類似傷害・事故

2012年12月22日の午後8時30分ごろ、2歳の男の子がベビーカーに乗り込んだ際、開閉金具部分に手をかけて指を挟み込む事故が起きました。

救急要請を受けた消防隊が40分ほどかけてパイプ部分を解体し、指の開放に成功して病院へ搬送されました。病院で医療処置を受け、合計3回の外来通院の後、受傷後1週間で腫脹・疼痛は改善しました。

指が挟み込まれた金具部分には「指はさみ注意」という注意喚起ステッカーが貼られていました。この表示は、以前に同様の事故が発生したときに再発防止に向けて採用された取り組みです。

しかし、今回の事故は注意喚起のみでは予防できないことを示しています。
母親がメーカーに事故の概要を伝えたところ、メーカー側もそのことは認識したようで「実際に、開閉時に指が入り込まないようなカバーなどを検討するべきですね」とコメントしたとのことです。

予防と対策方法

今回の事故を起こしたベビーカーは、アメリカ合衆国では2009年11月にリコールの起きた製品です。米消費者製品安全委員会(CPSC)は使用中止の指示を出し、日本でも消費者庁から注意喚起が行われました。
この際、メーカーによるリコールはなく、挟み込みが発生する部分を覆うヒンジカバーが配布されていました。しかし、この情報は周知されていなかったようです。

ベビーカーの使用頻度は、86%の人が「ほぼ毎日」または「週に2~3回」は使用しています。また、ベビーカーの開閉時に乳幼児が触れる距離にいる状況にある人は、64%が「よくある」または「たまにある」と報告されています。

折りたたみ式ベビーカーによる乳幼児の手指はさみ事故の経験についてのアンケート調査(2007 年11月)では、開閉時に手指を挟み内出血や擦り傷を負った経験のある人は8%報告されています。
さらに、開閉時に手指を挟む可能性がある可動部分を認識しているかの質問に対して、開閉時にフレームが可動していることを知らない人が14%、フレームが交差したり狭くなったりして手指を挟みそうな箇所を具体的に知らないと答えた人は27%でした。

最近では、指を挟まないように構造を改良したベビーカーも販売されています。しかし、ヒンジカバーの取りつけは消費者任せになっており、類似事故が多いにも関わらず対策されていません。

安全に使用するためにも、ベビーカーの開閉時に子どもが指を挟む可能性のある稼働場所を把握し、そこをあらかじめ布で覆うなどの対策をしてください。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.026 ベビーカーによる手指切断

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