【No.25】ベルトコンベアに4歳の子どもの手が巻き込まれる事故!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。刺激に弱い方は閲覧をご遠慮ください。

男の子(4歳)の手がベルトコンベアに巻き込まれる事故が発生しました。
男の子は誤って自転車搬送用のサイクルコンベアの隙間に手を入れてしまい、病院へ搬送されました。

幸いなことに男の子の手に後遺症は残りませんでしたが、指が切断される可能性もある事故でした。

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2011年8月9日、男の子(4歳)は母親と妹と一緒に駅前のお店に買い物に来ていました。
午前11時45分ごろ、母親は妹を自転車の前部座席に座らせ、買い物をした荷物と一緒に自転車搬送用のサイクルコンベアに自転車を載せ、地上へ上がろうとしました。

男の子を自転車に乗せると重みで上がれなくなるため、男の子はいつも通りひとりで歩いて地上へ上がろうとしました。突如、母親は男の子激しい泣き声を聞き、周囲にいた人にお願いして非常停止ボタンを押してもらいました。
そのままでは地上までのぼれないため、母親は一度自転車と妹、そして荷物を地下まで降ろし、周囲にいた人に妹を見てもらうようお願いして地上へ上がったところ、サイクルコンベアの脇に男の子が横たわり、右手から大量の出血をしていました。母親はすぐに救急車を呼びました。

サイクルコンベアに手が巻き込まれた事故の現場

事件後、事故状況がわからなかった母親は事故の現場検証をした所轄の警察署に確認をしました。目撃者の情報によると、男の子はサイクルコンベア脇で座っており、右手をベルトの上についてしまったとのことです。そして、順方向に進むベルトの方向に右手がひっぱられ、ベルトとベルトの吸い込まれ口の鉄板の間に引き込まれてしまいました。
警察の検証によると、ベルトと鉄板の間には7mmの隙間が存在しており、手が引き込まれた後もサイクルコンベアは稼働を続け、緊急停止ボタンが押されるまで手は引き込まれ続けてしまったとのことです。
そして、停止ボタンが押されてから周囲にいた人たちで協力して男の子の手を引き出したとのことでした。

病院の治療・手術

事故発生から6分後に救急要請がされましたが、受入れ可能病院が見つからず事故発生から45分後に病院へ搬入されました。

搬入時、手背側しゅはいがわ第3~5指MP関節部に開放創を認め、手全体の著しい腫脹しゅちょうおよび挫滅創ざめつそうを複数認めました。局所麻酔をし、創部を洗浄しナイロン糸により縫合されました。

手術後、入院はせず外来通院となりました。受傷10日目に抜糸しました。
特に機能障害はみられず、事故から23日目の8月31日に診療終了となりました。

サイクルコンベアに手が巻き込まれた処置後の様子

なお、受診回数6回の直接医療費は43,710円だったとのことです。

予防と対策方法

今回の事故では、子どもの手が挟まっても緊急停止ボタンが押されるまでサイクルコンベアは停止しませんでした。このような機械には、状況を感知して自動停止する機能が必要です。
このサイクルコンベアは4~5年前から稼働しており、事故当時は業界団体による安全基準もありませんでした。

子どもの小さな手や足はベルトコンベアの隙間に入る可能性があります。動きのあるベルトコンベアは子どもの興味を惹くため、子どもの手や足挟まらない機能や構造が必要であると言えるでしょう。

ご家庭で実践できる対策は、こういった機械の隙間に手を入れる危険性について教えることです。指がなくなる危険性があることを伝え、絶対に実践しないように言い聞かせましょう。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.025 自転車搬送用ベルトコンベアのベルト吸い込み口に挟み込まれて発生した手指外傷

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