しつけ箸が男の子(4歳)のアゴに刺さる事故が発生しました。
男の子は食事後にしつけ箸を手につけたまま回転する椅子で遊んでおり、転倒してしつけ箸(矯正箸)がアゴに刺さりました
最終的に男の子は2針を縫い、11日間の通院で済みました。
このような箸や鉛筆を正しく持つための器具の使用には注意が必要です。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2011年6月18日の午後8時ごろ、父母と夕食を食べ終えた男の子(4歳)は、パソコン用の回転する椅子に座ってグルグルと回って遊んでいました。なお、男の子は「しつけ箸(矯正箸)」を持ったまま遊んでおり、父母は気が付きませんでした。
その後、男の子はバランスを崩して転倒し、下顎の中央にしつけ箸の先が刺さって抜けました。かなりの出血があり、タオルを当てて止血して患部を確認すると、ぱっくりと2つの穴が空いていました。
病院の治療・手術
休日のため、救急医療に対応している医療機関を捜して受診しました。
傷の深さはそれほど深くなく、2針縫いました。
その後、11日間は消毒のために通院しました。顎部や口腔内に機能障害はありませんでした。
予防と対策方法
しつけ箸(矯正箸)は、幼児に箸の持ち方を教える器具です。
2歳から就学前向き、入園から小学校低学年向き、入学から成人女性向き、成人男性向きなど各年齢層用のものがあります。また、右利き用や左利き用もあります。
幼稚園の年少組には、1クラスに5~6人はしつけ箸を使用している子どもいます。箸をうまく持てない年齢では、箸を振り回して遊ぶ危険性があり、幼稚園ではその予防策としてしつけ箸の使用を認めているところもあります。
しつけ箸の構造は、リングに指を入れて保持するタイプ(今回の事故のもの)と、箸から枝状の突起が出ているタイプがあります。枝は1本のもの、2本のものがあります。
今回のしつけ箸はリングに指を入れて固定する構造になっており、転倒しても箸は指から外れません。そのため、転倒して肘が床に着いた際、箸先が上向きになって下顎部分に刺さったと思われます。しつけ箸の先は丸く加工されていますが、ある程度の力がかかると皮膚を貫き、刺傷となることがわかりました。
また、同じように手指に固定する器具には鉛筆の持ち方の補助器具もあります。こちらも尖った物を手に固定するため、顔面や眼球を傷付けるおそれがあります。
尖った物を手指に固定する補助具には、力が加わった際に手指から簡単に外れる仕掛けが必要であると言えます。
ご家庭でできる対策は、しつけ箸など手指を固定する器具の使用後は外すことを徹底してください。箸や鉛筆は先端の尖っており、転んだ際に他人や自分を傷付けるおそれがあります。
また、あまり手指を固定しないタイプのしつけ箸などを使用するのもおすすめです。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.024 しつけ箸による下顎部外傷」