ローラーすべり台で遊んでいた男の子(3歳)が脱臼する事故が発生しました。
事故が起きたローラーすべり台は、老朽化のため4ヶ月前に改修されたばかりでした。
消費者庁の調査によると、遊具での負傷事故はすべり台の事故が最多となっています。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2010年3月3日の午後3時半ごろ、男の子(3歳)は母親と2人でいつもの近所の公園に遊びに行きました。
母親は男の子が1人でローラーすべり台の階段を上るところまでは目撃していましたが、その後に20mほど滑り降りた場所で泣いている男の子を発見しました。
左足を全く動かさなかったため、母親は救急車を呼びました。
事故が起きたローラーすべり台は4ヶ月前に老朽化のために改修されたばかりで、スピードが出やすく滑りやすい状態でした。また、男の子は裸足でローラーすべり台を利用していました。
病院の治療・手術
来院後、男の子(3歳)はレントゲンで左股関節後方脱臼が確認され、外来にて徒手整復(骨折部を皮膚の上から医師の手を用いて整復する方法)を施行しました。
以後、入院にて4週間にわたって介達牽引(骨に直接牽引力を加えずに皮膚や筋肉を介して骨に力を加える方法)し、受傷6週間後より歩行開始となりました。
予防と対策方法
今回の事故では、脱臼は滑り台の中で発生したと考えられます。ローラーすべり台の写真から、曲がっている箇所に速度がある状態でぶつかり、その力が強かったために股関節が脱臼したと考えられます。
また、裸足だったためにローラーすべり台の側面にぶつかった際に大きな衝撃力を受けやすかったとも考えられます。
古いすべり台などは、子どもの体重、傾斜角度、摩擦係数,衝突時に湾曲部で発生する力などについて検証する必要があると言えます。
もしお子さんが古そうなすべり台で遊んでいる際は、事故の危険性がないか確認(滑走部がささくれていないか、傾斜角度が急すぎないかなど)し、場合によっては遊ぶのをやめましょう。
また、消費者庁による2009年9月~2015年12月までの調査によると、12歳以下の公園や学校での遊具での負傷事故は1,518件あり、すべり台の事故が440件と最も多くなっています。
すべり台の事故には、滑走面を立って登っていた子どもに滑り降りてきた子どもが接触して頭蓋骨を骨折したケースもあります。また、すべり台の上の柵を越えて遊んでいた子どもが高さ3メートルから墜落して胸部と背部を骨折したケースもあります。
公園の遊具は楽しいものではありますが、遊具の正しい遊び方やルールを守り、遊具の周辺ではふざけないように子どもに教えてあげてください。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.020 ローラー滑り台による股関節脱臼」
日本経済新聞「子供の遊具事故 6年で1500件 滑り台最多、春に増加傾向」