女の子(8歳)の舌がラムネ瓶から抜けなくなる事故が発生しました。
瓶の中に舌を入れて遊んでいたところ、舌が抜けなくなったため病院へ行きました。
最終的に女の子の舌は抜けましたが、このような事故では迅速な処置が求められます。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
8月31日の午前10時ごろ、女の子(8歳)はラムネを飲み終え、舌を飲み口に付けて中の空気を吸い続けたところ、ビンに舌が吸着しました。女の子はこれが面白くて吸い続けたところ、気が付くと舌がビンから抜けなくなりました。
女の子は母親に知らせ、1時間余り悪戦苦闘しましたが抜けなかったため、病院を受診しました。
病院の治療・手術
来院時、女の子(8歳)の意識は清明で顔色も良好でした。
舌は瓶の口から2~3cm中に入っている状態でした。
まずはじめに、ビンと舌の間にゾンデ(診断や治療に用いるゴム製あるいは金属製の細い管状の器具)を挿入し、ビンの中の陰圧の解除を試みました。
それでも舌が抜けないため、サーフロー(静脈留置針)を挿入してシリンジ(注射筒)から空気を注入し陽圧となるよう試みました。しかし、舌は瓶から抜けません。
さらにもう一本ゾンデを挿入し、キシロカインゼリーを注入してねじりながら引き抜きました。
処置時間は計15分を要しました。抜き取り後、舌の先端部には発赤、腫脹、内出血が認められました。
女の子は経過観察となり、帰宅しました。
予防と対策方法
ラムネ瓶の口のキャップには、ネジ式キャップと打ち込み栓タイプの2種類があります。前者は外すことができますが、後者は外すことができません。
今回の事故のラムネ瓶は、キャップが外れない打ち込み栓でした。舌をすぼめてビンを長時間吸い続けていたため、ビンの中が陰圧となって舌が引き込まれ、これにうっ血による腫脹が重なって抜き取りが困難となりました。
このような事故では、時間の経過に伴って吸い込まれた舌のうっ血が強くなり、さらに抜き取りが困難になります。
つまり、迅速な処置が必要です。
子どもは遊びとして、いろいろな形をした容器を口で吸うことがあります。容量が少ない容器かつ容器の口の部分が狭くなっている場合には同様の事故が起きることがあります。
事故を未然に防ぐためには、このような容器・瓶に舌を入れて遊ばないように注意することです。舌が抜けなくなり、腫れてしまった事例があることを子どもに教えてあげましょう。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.017 ラムネ瓶の口による舌外傷」