女の子(1歳1ヶ月)が立体駐車場の鉄製の床に両手を触れ、やけどを負う事故が発生しました。
事故が起きた日は夏の日の暑い日で、鉄製の床は非常に熱くなっていたのが原因です。
小さな子どもがやけどを負う事故は多く、その際の対処方法は覚えておく必要があります。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2012年7月31日の午前11時30分ごろ、女の子(1歳1ヶ月)がマンションの屋外にある立体駐車場の鉄製の床に両手を触れ、やけどを負いました。鉄板に触れていた時間は不明ですが、短時間だと思われます。
事故の当日は快晴で、気温は32.7度でした。また、事故の発生前10日間はまったく雨が降っておらず、最高気温が30度を超える真夏日が約1週間続いていました。
病院の治療・手術
事故後、両親はすぐに女の子を病院へ連れて行きました。
手の平には水疱があり、II度の熱傷と診断されました。
水疱を破って湿潤療法をし、翌日以降は別の病院へ通院することになりました。
事故後、処置をした医者はマンション管理人の同席のもと、立体駐車場を見学しました。ごく一般的な立体駐車場でしたが、鉄製の床はかなり熱くなっていたとのことです。
類似傷害・事故
自宅のベランダで両足の裏をやけど
自宅のベランダで女の子(1歳2ヶ月)が両足の裏にやけどを負う事故も起きています。
事故が起きたベランダは日差しが強く、大人でもサンダルなしでは歩けないほど熱くなっていました。
女の子は両足の裏にやけどを負い、病院では発赤・水疱形成を確認しました。
受傷後に熱傷部位の感染もあり、女の子は5日間入院しました。その後は順調に回復し、受傷後63日目に治療を終えました。
自宅の庭の排水管を覆う金属製のふたで足の裏をやけど
自宅の庭で女の子(1歳1ヶ月)が足の裏にやけどを負う事故も起きています。
女の子は排水管を覆う金属製のふたを踏み、足の裏をやけどしました。
流水で1時間冷やしてから病院を受診し、病院の処置を2日間受けて治療を終えました。
予防と対策方法
子どもの生活環境では、鉄がむき出しになっている場所が多くあります。
たとえば、道路脇の鉄柱や鉄の柵、公園の鉄棒やすべり台、自動車のボディなどです。夏の暑い時期、これらに直射日光が当たると高熱となり、やけどの事故が起きます。
高温物体による温熱熱傷の深度は、物体の温度とその物体に接触する時間に影響されます。通常、人間の皮膚は60℃を超える物体に数秒以上接触するとⅡ度以上の熱傷になるといわれています。
環境省によると、夏の日中にはアスファルトの表面は60℃近くまで加熱されていると報告されており、注意が必要です。
具体的な予防策としては、子どもがよく利用する場所や製品の鉄製部分に対しては、直射日光の熱の吸収を低減させるように日除けを設置しましょう。
また、子どもがやけどを負ってしまったら、以下のことに気を付けてください。
- よく冷やしてあげることが最も大切です。痛みがなくなるまで冷やしましょう。
- 熱傷部分にさわらないようにしましょう。
- アロエを塗るなどの民間療法は止めましょう。
- 市販されている冷却用シートは、熱傷には使えません。
- 熱湯などをかぶった場合には、服の上からシャワーなどの流水で冷やしましょう。
※服を脱がすと皮膚が剥がれて重症化する可能性があります。
そして、やけどの影響で水疱ができたり皮がむける部分が広範囲におよぶ場合は、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診してください。爆発などによるやけどや化学薬品によるやけどの場合も、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診してください。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.035 太陽光で熱せられた床面の鉄板による手掌部熱傷」