女の子(3歳)が公園の遊具から転落し、大腿骨を骨折する事故が発生しました。
事故後の調査により、遊んでいた遊具は子どもが簡単に転落する構造をしていたことが発覚しました。
女の子の入院は51日間にも及び、体重を乗せて歩けるようになるまで約2ヶ月を要しました。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2008年7月12日の午後3時40分ごろ、女の子(3歳)は父親と一緒に公園に設置された船の形をした複合型遊具で遊んでいました。
そして、女の子は丸太製の吊り橋の1本目と2本目の間から転落しました。丸太の隙間は変化するようになっており、通常時75mm、最大時250mmでした。
船のデッキ部分には穴が開いており、女の子はその穴を通過してデッキの下(船中)の地面まで直接落下しました。
落下時の姿勢は、ほぼ垂直に立った状態でした。衝突した地面の材質は土でした。
病院の治療・手術
病院のレントゲン検査で大腿骨の骨折が確認されました。
骨折の治療は直達牽引とギプス固定で行われました。
8月5日にギプスで固定し、8月17日にギプスを取り外しました。そして、8月31日に退院しました。
入院治療は51日間に及び、9月11日には全荷重の許可が降りました。
その後、約3年が経過した2011年8月23日に検査をしたところ、骨折した側の骨の成長が早くなる過成長と呼ばれる現象が確認されました。レントゲンでの検査では、骨折側の大腿骨が1.2cm長くなっていました。
なお、直接医療費は2,773,740円(食事療養費負担や室料などの合計)だったとのことです。
予防と対策方法
今回の複合型遊具の吊り橋は、隙間が大きく変化する構造となっており、最も開いた状態で250mmでした。これは日本公園施設業協会の遊具の安全に関する基準によると、頭部および胴体が通り抜ける構造(230mm以上)に該当しています。つまり、子どもが簡単にすり抜ける構造、落下する構造だったと言えます。
また、落下地点の硬さ調査によるとHIC(頭部衝撃基準値)は1494で、最大加速度は169Gでした。HICは1000を超えると生命を脅かす頭部損傷の可能性があると言われています。つまり、もし頭部から落下していれば命の危険もありました。
残念ながら、日本公園施設業協会の遊具の基準には吊り橋に関する詳細なルールがありません。想定される危険、可変する隙間に関する基準、望ましくない設置高さなどを明確にする必要があると言えます。
また、古い遊具が設置されたままになっており、それで遊んで怪我をする場合もあります。
お子さんが古そうな遊具で遊んでいたり、明らかに危なそうな遊具で遊んでいる場合は注意するようにしましょう。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.029 遊具からの転落による大腿骨骨折」