女の子(3歳)が幼稚園内にある遊具に首を引っかけて意識を失う事故が発生しました。
女の子の通う幼稚園では、本来の遊び方とは違う遊具での遊びが日常化していました。
最終的に女の子は後遺症もなく無事退院しましたが、似たような遊具は多くあるため注意が必要です。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
女の子(3歳)の通う幼稚園の園庭では、遊具の柵の間をくぐり抜け、本来のぼるために設置されていた後方の棒を伝って地面に降りる遊びが日常化していました。
2011年10月12日の午前9時20分ごろ、保育士がふと遊具を見たところ、のぼり棒の柵に首を引っ掛けてぶら下がっている女の子を発見しました。
すぐに助けを呼んで女の子を降ろしましたが、降ろした時点で意識はありませんでした。
女の子の呼吸はあり、救出後まもなく意識を回復しました。
すぐに救急要請したものの近隣に収容可能な病院がなく、事故後1時間以上経過してから病院へ搬送されました。
なお、遊具の上部天板は地面から約2.2メートルの高さ、上部鉄板にある柵の高さは70センチメートル、柵の間隔は約17センチメートル、またのぼり棒上部の水平部分は約12.5センチメートルでした。
病院の治療・手術
病院搬入時、女の子の気道、呼吸、循環は保たれており、意識レベルも問題ありませんでした。前頸部には出血斑がありました。
現在の意識レベルの低下が今回の事故が原因なのか判別しかねたため、頭部CTや心電図などの検査を施行しました。いずれも明らかな異常はありませんでした。
経過観察のため、その日はハイケアユニットに入室しました。
翌日には状態が安定していたため帰宅し、事故後5日後に再診しましたが問題はありませんでした。
なお、入院費の直接医療費は147,430円だったとのことです。
予防と対策方法
今回事故が起きた遊具は、ポールから降りるためには柵が邪魔であり、柵の間を通って降りる必要がありました。つまり、設計そのものが事故を誘発していた可能性があります。
日本公園施設業協会の安全規準では柵の幅は10cm以下となっています。今回の遊具の柵の幅は17cmであり、これは安全基準を外れていました。
安全基準を外れている理由は、この遊具が40年以上前に設置されたものだからです。すでに製作会社はなく、管理も行われていませんでした。
遊具はオリジナルな構造であっても安全基準を満たす必要があります。新しい遊具を購入する場合は安全基準に合致していることを確認し、古い遊具の場合は安全点検を専門家に依頼する必要があります。幼稚園が遊具の管理をしていれば、今回の事故は避けられたかもしれません。
もしお子さんが遊具の正しい遊び方をしていない場合は、危険があることを伝えて注意しましょう。
また、古そうな遊具で遊んでいる場合は危険性がないか確認し、場合によっては遊ぶのをやめましょう。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.027 遊具による縊頸」