【No.63】0歳の子どもが加熱式タバコを誤飲!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

0歳9ヶ月の子どもが加熱式タバコを誤飲する事故が発生しました。
最終的に子どもは無事に退院しましたが、加熱式タバコは紙巻きタバコよりも短く、小さな子どもが一口で口に入れられるサイズのため注意が必要です。

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。
同様の事故が起きないよう、それぞれのご家庭で対策方法を学びましょう。

事故発生の原因

2016年5月9日、男の子(0歳9ヶ月)の手が届くテレビ台の上(約40cmの高さ)に、加熱式タバコの箱が封が開いた状態で置いてありました。
母親が男の子の異常に気づいた時、タバコフィルターのみが口のなかに残った状態であったため、タバコの誤飲が疑われました。

なお、この家庭は父親・母親・男の子の3人暮らしであり、父親のみが喫煙者でした。
男の子の誕生を機に紙巻きタバコから副流煙のない加熱式タバコに変更していました。

病院の治療・手術

救急外来受診時、すでに誤飲から1時間が経っていました。
男の子の顔色は悪く、輸液を開始して生理食塩水500mLで胃を洗浄しました。輸液開始後、顔色は改善しました。胃洗浄にて中等量のタバコの葉を回収できました。

入院にて経過観察を行い、状態の悪化がなかったため翌日退院となりました。

類似傷害・事故

2016年8月12日、母親が目を覚ました時、男の子(0歳11ヶ月)は口をクチャクチャさせていました。
周囲には噛みちぎったと思われる加熱式タバコが2本落ちていました。
すぐに口の中のものをかき出し、その後救急外来を受診しました。

病院到着後、嘔吐を1回しました。その後に体調の悪化がなかったため、帰宅しました。

なお、加熱式タバコは父親のものであり、封を切った状態で50cmの高さの棚の上に置いてありました。

予防と対策方法

加熱式タバコは、紙巻きタバコより細かく刻んだタバコ葉を高密度に充填したスティックに加熱板を挿入し、300℃程度の熱を加えてニコチンを含む蒸気(正確にはミスト)を発生させ、それを肺に吸引する製品です。
日本国内では、世界に先駆けて2014年末より限定販売され、2015年からは本格的に販売が開始されました。
加熱式タバコは紙巻きタバコと同様にフィルターがついている構造ですが、一般的な紙巻きタバコの半分の長さであり、子どもが一口で口に入れられる長さとなっている点が問題です。

加熱式タバコの使用者が肺に吸引する有害物質は、紙巻きタバコよりも少ないとされています。
紙巻きタバコでは800~1,000℃近い温度で燃焼させることでタールや一酸化炭素などの有害物質が発生しますが、加熱式タバコでは350℃程度の温度上昇であるため、有害物質の発生量が少ないことが理由としてあげられます。

しかし、口腔から気管・気管支は解剖学的死腔(容積は成人で150mL程度)と呼ばれ、肺での吸収・沈着がまったく行われず、発生したミストがそのまま吐き出されます。その濃度を微小粒子状物質(PM2.5)として測定したところ、瞬間的に2,000μg/m3に達しました。
国立保健医療科学院によれば、この成分にはホルムアルデヒドやタバコ特異的ニトロソアミンなどの有害物質も含まれています。また、加熱式タバコに含まれるニコチンの量は表示義務がなく詳細は不明ですが、短いスティックで紙巻きタバコと同様の効果を得るためには、紙巻きタバコよりも高い濃度でニコチンなどが含有されている可能性があります。

なお、アメリカ合衆国では電子タバコの危険性が報告されています。これは加熱式タバコとは異なり、一般的に専用のカートリッジ内の液体(プロピレングリコールなどを含む)を電熱線で加熱し、発生する霧状の微粒子をタバコ型吸引器より吸引する製品です。
National Poison Data Systemからの報告によると、2012年以降6歳未満の子どもでカートリッジ内の液体の誤飲、誤吸入、眼球への暴露などの事例が著増しており(2012年1月は14例、2015年4月は223例に増加)、2歳未満の報告が多いとあります(全体の約44%)。
また、その結果通常の紙巻きタバコを誤飲した例より重篤な状態に陥っており(重症化する可能性は2.6倍)、さらには死亡例も報告されています。
なお、日本国内では医薬品医療機器等法により、ニコチンを含む液体カートリッジの販売は規制されています。

加熱式タバコのメーカーは、「副流煙が出ないために周囲への影響が少ない」ことを強調しているため、子どもが居る家庭で副流煙に気遣う人たちなどを中心に使用者が増えている可能性があります。
日本中毒情報センター月別受信速報によると、加熱式タバコについて2016年1~6月に95件の問い合わせがあり、その多くが子どもの誤飲でした。

ご家庭でできる対策は、乳幼児の生活環境にこのような製品を置かないようにするしかありません。
もし加熱式タバコを誤飲してしまった場合はすぐに病院へ行きましょう。

加熱式タバコはニコチンの含有量も不明瞭なため、危険な症状に陥る可能性もあります。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.053 加熱式タバコの誤飲.pdf

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