【No.60】ヘアカラー剤に触れた1歳の子どもの唇が腫れる事故!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

1歳7ヶ月の男の子が染毛剤の袋をかじり、内容液に触れた唇が2倍以上に腫れる事故が発生しました。
最終的に男の子の唇は元に戻りましたが、乳幼児の側で髪を染めるには注意が必要です。

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないよう、それぞれのご家庭で対策方法を学びましょう。

事故発生の原因

2015年8月25日の午後3時頃、母親が髪の毛を染めるため、染毛剤の1剤(クリーム)と2剤(oxide water)を別々に置いていました。母親が目を離していた間に、男の子(1歳7ヶ月)が染毛剤の1剤を口にくわえてかじっており、内容液が少し漏れ出ていました。母親はすぐに気付き、染毛剤を取り上げると同時に口についた内容液を拭き取りました。20分後、男の子の上口唇が急激に腫れたため、近くの病院を受診しました。

病院の治療・手術

病院受診時、男の子の上口唇は普段 2倍以上に腫れていました。日本中毒情報センターに確認したところ、染毛剤1剤は毒性が強いことが判明し、別の病院を紹介されて受診しました。

染毛剤が唇について腫れている様子

病院到着時、変わらず上口唇は腫れていました。母親があわてて拭き取った際に、口唇に付着したのではないかと考えられます。なお、呼吸状態は安定しており、口腔内および気道内へは達していないと考えられました。ステロイド軟膏の塗布して経過観察したところ、約8時間をピークとして徐々に改善、翌朝には腫れがなくなりました。

予防と対策方法

今回原因となった製品はヘアブリーチで、誰でも簡単に手に入れられるヘアカラーリング製品です。
事故の原因となったブリーチ製品は、使用説明書によればブリーチパウダー(有効成分:過硫酸塩)を2剤(有効成分:過酸化水素)に溶かし、さらに1剤(有効成分:アンモニア水)を加え、混ぜ合わせて使用します。2剤中の過酸化水素は酸化剤として働き、毛髪中のメラニンを酸化することで毛髪を脱色します。
ブリーチパウダー中の過硫酸塩は吸湿するとそれ自体が過酸化水素を発生し、2剤と混ぜ合わせることで酸化作用がさらに促進されます。1剤中のアンモニア水はアルカリ剤で、毛髪を膨潤・軟化し薬液が浸透しやすくするとともに、過酸化水素と混合することで過酸化水素による酸化作用を促進します。

今回の事故では、母親が口についた1剤を拭き取ったとの情報があり、1剤中の成分に反応したのか、母親の手に付着していた他の成分(2剤またはブリーチパウダー)に反応したのかははっきりしません。そのため、物質そのものによって化学熱傷を発症した可能性、または即時型反応である接触じんま疹を発症した可能性があります。

アメリカのカンザスシティーにある小児3次病院で実施された「10年間の小児口腔熱傷のレビュー(75例)」では、ヘア製品(hair products)の誤飲事故は約1/3を占めています。アルカリ剤を誤飲した場合、喉頭浮腫や腐食性食道炎を引き起こし,気道閉塞,食道狭窄に至る可能性があります。
染毛剤による接触皮膚炎の報告もあります。永久染毛剤として用いられる酸化染毛剤では、含有されるパラフェニレンジアミン(PPD)、パラトルエンジアミン(PTD)などの芳香族アミノ化合物が抗原となることが多いです。遅延型反応であるアレルギー性接触皮膚炎が多いですが、まれに即時型反応である接触じんま疹やアナフィラキシーを発症することもあります。

ご家庭でできる対策は、ヘアカラーリング製品を使用する場合は子どもを近づけないことです。染毛剤に触れただけでも炎症を起こす可能性があるため、とにかく触れさせてはいけません。また、ヘアカラーリング製品を子どもが触らないように保管することも重要です。

鍵付きボックス

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.060 染毛剤の誤飲.pdf

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