【No.59】転倒した7歳の子ども、水筒で腹部を強打して内臓損傷!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

7歳の男の子が、転倒した際に身に付けていた水筒で体を強打し、内臓を損傷する事故が発生しました。
最終的に、男の子は3回の手術で臓器の摘出も行い、今後の人生に影響を与える事故となりました。

小さな子どもは、腹部に外から強い衝撃を受けた際に内臓損傷が起こりやすいです。この事故は、どのご家庭でも起こる可能性がある事故です。それぞれのご家庭で対策方法を学び、万が一に備える必要があります

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないよう、それぞれのご家庭で対策方法を学びましょう。

事故発生の原因

2015年6月5日の午前8時頃、男の子(7歳5ヶ月)は小学校へ登校中、学校内に入ったところ(下は硬い土)でつまずいて転倒しました。
男の子は走っていたため、かなり勢いがついて回転したように転びました。その時、首から提げていた水筒でお腹を強打しました。水筒は蓋側を下(地面側)にして、底の部分でお腹を打ちました。

男の子はぐったりして嘔吐が続いたため近くの病院を受診しました。
病院では内臓損傷の可能性を疑われ、精査加療のために別の病院を受診しました。

病院の治療・手術

来院時、男の子は顔色不良、活気低下、腹痛持続、血性嘔吐の症状がありました。
血液検査にて膵アミラーゼ、リパーゼの上昇を確認し、腹部CTにて膵体部の断裂を確認、外傷性の膵損傷と診断されました。

合計3回の手術が実施され、すい臓を50%程度摘出、ひ臓も摘出しました。
男の子は7月18日に退院しましたが、臓器の摘出に伴って今後は糖尿病の発症や肺炎球菌などの感染に注意が必要になります。

類似傷害・事故

2020年11月にも、同じような事故が起きています。
女の子(6歳10ヶ月)は、水筒を肩からたすき掛けに下げて集団登校の集合場所へ一人で向かう途中、走っていて転倒しました。
転倒の際、地面とお腹の間に水筒が横向きに挟まり腹部を打撲しました。倒れている女の子を友人が発見し、学校の教師を呼び、教師に連れられ帰宅しました。
自宅には母親がおり、帰宅後一旦腹部症状は治まったため登校しましたが、学校へ到着直後に嘔吐があり近くの病院を受診しました。

病院の検査では異常はありませんでしたが、帰宅後も嘔吐が続いたため近くの病院を再診し、別の病院を紹介され受診しました。
腹部CTにより膵損傷と診断され、大きな病院へ搬送されました。

病院にて、鎮痛の処置で入院となりました。
入院後の症状に悪化のないことを確認しながら複数回の検査を行いました。
入院5日目に飲水開始、6日目に食事を開始、14日目に退院となりました。

予防と対策方法

小さな子どもは以下の3つの理由から、腹部に外から強い力が作用した際に内臓損傷が起こりやすいです。

  1. 成人に比べて体幹部が短く、狭い領域に外からの衝撃が集中しやすい
  2. 腹部臓器が大きい(肝臓・脾臓の一部は肋骨に保護されていない)
  3. 内臓脂肪が少なく腹壁筋が弱いため、外からの衝撃を十分に緩衝できない

腹部臓器の損傷が起これば、肝・脾損傷では大量出血、膵損傷では膵液漏出による腹腔内・後腹膜腔内の激しい炎症、小腸・十二指腸を始めとした管腔臓器損傷では腹膜炎,通過障害などを引き起こし、手術や長期間の入院加療を余儀なくされ、最悪の場合は死亡することになります。

小さな子どもは成人に比べて転倒しやすく、転倒しても反射的に体を支えるといった動作が取りにくい身体構造をしています。そのため、今回のような事故を避けることは非常に難しいです。
まずは、腹部の前方に固いものが位置している状態での転倒が危険であることを教え、その状況を避けるようにしましょう。水筒をぶら下げて移動する場合は、斜め掛けした水筒が腹部正面に来ないように工夫しましょう。

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出典:公益社団法人日本小児科学会「No.059 水筒による膵外傷.pdf

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