【No.55】シールを飲み込んだ0歳の子どもが手術!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

0歳7ヶ月の女の子が1.0×1.0cmのシールを飲み込んで手術となる事故が発生しました。
最終的に女の子は翌日に無事退院しましたが、乳幼児のシールの誤飲事故は多く、気道が完全に塞がると死亡することもあります。

乳幼児が身近なものを口に入れて誤嚥・誤飲する事故は、どのご家庭でも起こる可能性がある事故です。それぞれのご家庭で対策方法を学び、万が一に備える必要があります

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2015年3月13日の午後0時45分、遊んでした女の子(0歳7ヶ月)がシールを飲み込んだことに母親が気がつきました。女の子は咳をすると少量の血が出ました。女の子は不機嫌で元気がない様子でした。

病院の治療・手術

近くの市立病院の耳鼻咽喉科を受診しました。
喉頭ファイバーで左下咽頭披裂部に1.0×1.0cmのシールを確認しました。窒息の危険性があったため、18時から全身麻酔下に異物除去の手術を開始、シールを摘出しました。

一晩経過観察を行い、問題がないことを確認して翌日退院しました。

予防と対策方法

乳幼児はあらゆるものを口に入れて誤飲・誤嚥します。小さいものを口の中に入れた状態で、泣いたり笑ったり食べている最中に話したりして、誤って異物を気道に吸い込んだり、食道に飲み込んでしまいます。

子どもの気道の解剖では、3歳児が大きく口を開けたときの平均口径は直径39mmとされています。声門部の断面は1歳児で約6mm×2.5mm、3歳児で約7mm×3mm、声門下レベルの断面は1歳児で約7mm×3.5mm、3歳児で約8mm×4mmの楕円形です。

口腔内を通過した異物が一旦声門部を通過し気管に引き込まれてしまっても、ごく小さい異物であれば咳嗽反射によって異物は外に飛び出します。しかし、乳幼児は十分に咳き込むことができず、気道内の異物を自力で除去できません。また、一定以上の大きさのものが気管に引き込まれてしまった場合、気管粘膜に引っかかるか、縦長の声門部に阻まれて排出できず、気道を塞いでしまいます。

今回の事故の原因であるプラスチックシールの大きさは1cm×1cmで、実際に口腔内を通過して咽頭異物となりました。一歩間違えれば気道内に引き込まれる可能性もありました。
異物によって気道が部分的に塞がれると、咳込み、呼吸困難症状に加え、喘鳴、チアノーゼ、低酸素血症などを呈します。気道が完全に塞がれると窒息し、最悪の場合死亡することもあります。もし死亡を免れても、重篤な後遺症を残すこともあります。

東京都が平成22年に実施した「子どもの誤飲に関する保護者2,000人に対するインターネットアンケート調査」では、「誤飲しそうになった経験がある」と「誤飲したことがある」を合わせた経験者数は、『紙類』が2,000人中 522人(誤飲しそうになった:226 人、誤飲した:296 人)で最も多く、次に『シール』502 人(誤飲しそうになった:319 人、誤飲した:183 人)と続いています。シールを誤飲したと回答した者のうち、7件が医療機関を受診し、うち1件は入院しています。紙類とシールの誤飲は0歳と1歳がほぼ100%を占めていました。

おもちゃの誤嚥による気道異物のうち、約27%は親が近くで見ていたにも関わらず起きています。先の東京都のアンケート調査では、様々な種類のシールを誤飲していることが分かっており、親の注意だけで事故を防ぐことはできません。
シールには、子どもが口に含んだ瞬間に苦味を感じ、吐き出す誤飲防止用の苦味成分を粘着面に含ませる対策などが必要です。または、誤飲しても大丈夫な水に溶ける紙やノリの使用、体内で溶けても影響を与えない物質で構成することもいいでしょう。また、素材全部または一部がX線に映るようなものにしておくと、異物誤飲時の早期発見につながります。

欧米では、乳幼児の子どもの口を容易に通過するような小さな部品を有する玩具は、特別な表記なしに3歳未満の子どもに販売することは規制されています。
日本でも、日本玩具協会が玩具安全基準(ST基準)があり、通過テストを含めた適合検査に合格すれば玩具安全マーク(STマーク)をつけることが可能です。しかし、これはあくまで協会の推奨であり、また今回のシールのような玩具以外のものには適応されません。シールのパッケージには、3歳までの乳幼児の誤嚥が多いことを目立つように表記する必要があるといえます。

ご家庭でできる対策は、乳幼児の生活環境に小さなサイズのシールを置かないようにするしかありません。また、もしお子さんがシールを飲み込んでしまった場合は、すぐに病院へいきましょう。

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出典:公益社団法人日本小児科学会「No.055 プラスチック製シールの誤飲による咽頭異物.pdf

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