【No.45】ベビーフードの大豆が詰まって乳児が救急搬送!対策方法は?

手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

0歳10ヶ月の男の子は食事中に突然、顔と四肢が真っ青になりました。
男の子はベビーフードに含まれていた大豆を喉に詰まらせていました

最終的に約2週間の入院で無事に退院しましたが、気管支異物を引き起こしやすい豆類の食事には注意が必要です。

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。

事故発生の原因

2012年12月24日の午後8時30分ごろ、自宅の居間で母親は男の子(0歳10ヶ月)に食事を与えていました。食事の最中に男の子は突然泣き始め、顔面と四肢が真っ青になりました。

父親が男の子を逆さまにして背中を叩いたところ、固形物(じゃがいも・大豆片)を数個吐き出しましたが、その後男の子は救急搬送されました。

病院の治療・手術

来院時、喘鳴はありました男の子の意識清明で、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)は酸素なしで95%を維持できていました。また、耳鼻科の医師による喉頭ファイバーによる検査では異物を認めませんでした。

翌日、男の子に発熱・多呼吸・陥没呼吸が出現し、さらに顔面蒼白となったため、12月25日午前6時に救急外来を再診しました。SpO2は80%前半で、前日と比較して明らかに呼吸状態が悪化していました。
誤嚥を疑わせるエピソードと食べたものに大豆が含まれていたことから、大豆の誤嚥および化学性肺炎と考えられ入院することになりました。

その翌日、数回にわたって大豆片が吐き出されました。気管支から排出された大豆片の一つは8×3mmでした。そのあと速やかに解熱し、呼吸状態も改善しました。

12月31日にはミルクの食事を開始し、翌年1月5日から離乳食を再開しました。誤嚥がないことを確認して1月7日に無事退院しました。

なお、この事故の直接医療費は72万5,560円だったとのことです。

類似傷害・事故

豆類の他にも身近な食べ物で事故が起きています。3例の事故を紹介します。

離乳食(根菜類)が原因による誤嚥事故

2015年2月、0歳10ヶ月男の子が昼の離乳食(里芋を煮たもの)で左気管支異物と診断される事故が起きました。

男の子は食事中に咳をしはじめ、チアノーゼ気味になりました。その後、回復しましたがチアノーゼが出現、近隣の医療機関で診察を受けたところ誤嚥が疑われました。総合病院の胸部CT検査で左気管支異物と診断され、高次医療機関に救急搬送されました。

救急搬送後に異物摘出術が行われ、男の子は術後8日で退院しました。

チアノーゼとは、血液中の酸素の不足が原因で皮膚が青っぽく変色することです。 酸素が枯渇した血液(脱酸素化血液)は青みがかっており、これが皮膚を循環している場合にチアノーゼがみられます。

みかんの種が原因による窒息事故

2020年1月、男の子(1歳4ヶ月)はみかんの種が原因で窒息し、心肺停止蘇生後に低酸素脳症となり後遺症を患うこととなりました。

母親は男の子にみかんを一房ずつ食べさせていましたが突然苦しそうな様子になり、救急要請をしました。8分後に救急隊が男の子に接触した際には、心肺停止の状態でした。

14日後、回復した男の子はリハビリテーションを目的に転院となりました。転院時、小児脳機能カテゴリースケール(Pediatric Cerebral Performance Category:PCPC)は3でした。
※中等度の障害で年齢相応の機能以下、発達マイルストーンの大半で10パーセンタイルを下回る状態

魚の骨が原因による事故

2018年8月、女の子(1歳9ヶ月)が両親の目を盗み夕食のアジフライのしっぽを食べ、両側気管支異物と診断される事故が起きました。

女の子は突然の咳き込み、顔面が紅潮してチョークサインが出ていました。病院を受診した女の子は最終的に摘出手術を行い、24日後に退院しました。後遺症はありませんでした。

チョークサインとは、呼吸音がヒューヒューと聞こえたりすることです。また、人は異物が完全に気道をふさいでしまうと声を出せなくなり、のどをつかむ動作をします。 これを「窒息時のサイン(チョークサイン)」といい、世界共通のサインとされています。

予防と対策方法

今回のベビーフードによる事故で、気管支から排出された大豆片の一つは8mm×3mmの大きさでした。この大きさのものが生後10ヶ月の乳児の気管支に入っていれば、気道閉塞に近い状態になり呼吸困難をきたすことは容易に想像できます。

事故の原因となったベビーフードの原材料は、野菜(にんじん、たまねぎ、ブロッコリー)、じゃがいも、トマトピューレー、肉加工品(豚肉、鶏レバー、でん粉、卵白、食塩)、トマトケチャップ、ぶどう糖、大豆、野菜エキス、全粉乳、しょうゆ(小麦を含む)、バター、増粘剤(加工でん粉)となっています。包装容器の外側には「9ヶ月頃から、歯ぐきでつぶせる固さ」と表記があり、9ヶ月以降に食べることができる食品となっていました

しかし、ベビーフードの包装容器の注意書きには、誤嚥のことは記載されていませんでした。ベビーフードには、指針(平成8年6月 厚生省生活衛生局長通知)が出されていますが、誤嚥に関する記載はありません。日本ベビーフード協議会も「ベビーフード自主規格(平成20年11月 第Ⅳ版)」を出していますが、同様に誤嚥に関する記載はありません。
今後、業界はベビーフードによる誤嚥の情報を集め、食材の種類や大きさ、固さなどに関して検討する必要があると言えます。

具体的な対策として、ベビーフードの豆類を避けることが挙げられます。
乳児の気管支異物として最も頻度が高いものは豆類であり、特にピーナッツによる気管支異物が多く、豆類は化学性肺炎を起こすこともよく知られています。今回の事故もベビーフードの大豆によって化学性肺炎が起こったと思われます。

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また、もし子どもに窒息の可能性がある場合は、以下の処置を行いましょう。

「あめ玉」などを飲み込んで窒息の可能性がある場合の対処方法
出典:窒息 | こどもの救急
1歳未満の乳児の場合

意識がある場合:「胸部突き上げ法」と「背部叩打法」を数回ずつ交互に行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

1歳以上の幼児の場合

意識がある場合:「腹部突き上げ法」を行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.045 ベビーフード(大豆)の誤嚥による気道異物

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