0歳6ヶ月の乳児(女の子)がヘアアイロンの電源コードを口に入れてやけどを負う事故が発生しました。
女の子は電源コードに接続されたヘアアイロンを引っ張り、落下の衝撃で壊れて剥き出しとなったコードを口に入れてしまいました。
子どもがヘアアイロンの事故を起こすケースは全国で報告があり、使用後の管理方法などには注意が必要です。
本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないように対策を学んでください。
目次
事故発生の原因
2015年6月29日の午前8時ごろ、女の子(0歳6ヶ月)は居間で3歳と5歳の姉と一緒にいました。
1m程の高さの棚の上にヘアアイロンの本体があり、ヘアアイロンの電源コードは床にあった延長コードに接続されていました。
女の子は家族が目を離した隙にヘアアイロンの電源コードを引っ張り、ヘアアイロンが床に落下しました。落下の衝撃で通常は着脱できない本体と電源コードの接続部が破損し、コネクター内部が露出する状態となりました。
その後、女の子がそれを口に咥えている所を5歳の姉が目撃し、報告を受けた両親が駆けつけ、口腔内の異変に気づいて救急を受診しました。
病院の治療・手術
救急外来を受診し、口腔内電撃傷(こうくうないでんげきしょう)と診断されました。
右頬粘膜、右上顎部、舌右外側部に白色潰瘍病変を認めました。
モニタリングなどを含めた経過観察が必要と考えられ、入院となりました。入院後の全身状態は良好であり、病状は悪化することなく経過しました。
入院から数日後、経過が良好なため退院となりました。その後は外来でフォローを行い、口腔内病変の肉芽形成を確認の上、フォローを終了しました。
なお、直接医療費は338,340円だったとのことです。
予防と対策方法
今回の事故は、電源コードを介した口腔内電撃症の事故です。
口腔内電撃症は、電撃症による全身への影響と合わせて、口腔の機能および美容面への特別な配慮を必要とする症状になります。
1950年代に家庭内に電気製品が広く普及し始めたアメリカ合衆国で事故報告が見られるようになりました。対策に悪戦苦闘しながらも、現在では家庭内での口腔内電撃症の事故は減少しています。
ヘアアイロンは1990年代から普及し始めた製品であり、乳幼児のいる家庭でよく使用されています。ヘアアイロンに関する事故は産業技術総合研究所の傷害データベースでは3件報告されていますが、いずれも使用直後のヘアアイロンを1~2歳の子どもが誤って触ったことによる手やけどでした。
今回の事故は、外れるはずのない接続部が外れてしまったことが事故を起こした一因となっています。このような事故を未然に防ぐ為には、製品の改良が必須です。接続部が外れないように電源コードと本体を完全に一体化すること、外れるはずのない接続部が外れてしまうことも想定した設計が必要と言えます。
ご家庭でできる対策は、乳幼児が製品に触れることのない場所で管理するしかありません。
最近ではコードレスのヘアアイロンも販売されています。充電する場所を決めて乳幼児を近づけさせないようにすることで、電源ケーブルに起因する事故を未然に防げます。
また、信頼できる日本製メーカーなどから商品を選ぶことも安全対策の1つです。
ベビーゲートは、台所や階段などあらゆる場所で活用できます。
出典:公益社団法人日本小児科学会「No.042 ヘアアイロンの電源コードによる口腔内電撃傷」