2022年10月から「産後パパ育休」が新たに創設、内容や注意点を解説

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産後パパ育休(出生時育児休業)

2022年10月に「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度がスタートします。
この制度は、2021年に改正された育児・介護休業法の一部で、企業などに勤める一般の方が対象の内容です。
生まれたばかりの赤ちゃんのために育休を取れる制度ですので、申請・取得漏れがないように制度の内容や取得方法などをわかりやすく解説します。

産後パパ育休(出生時育児休業)制度とは?

男女とも仕事と育児を両立できるよう、2021年に産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正を行いました。2022年4月1日から3段階で施行されています。(下記表)

そのなかで、男性の育児休業の取得率の低さを改善するために新設されたのが産後パパ育休(出生時育児休業)です。現行の「パパ休暇」は2022年9月30日で廃止されます。

産後パパ育休が取得できるのは、女性が産後休業中の時期に当たることから、一般的に「男性版産休」とも呼ばれています。

施行日改正内容
2022年4月1日〜(1)雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
・育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務化
・妊娠、出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務化
(2)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
2022年10月1日〜(3)産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
(4)育児休業の分割(2回)取得
2023年4月1日~(5)育児休業取得状況の公表の義務化
・従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務化
出典:https://ikumen-project.mhlw.go.jp/kaisei_point/(厚生労働省)

産後パパ育休が創設された理由

厚生労働省が公表する「イクメンプロジェクト」のデータによると、育児休業取得率は次のとおりです。

  • 【女性】81.6%(取得日数は、10ヶ月以上が69.7%)
  • 【男性】12.65%(取得日数は、5日未満が28.33%)

男性の家事・育児時間も女性と比べて6分の1程度であり、世界各国と比較しても、日本の男性の家事・育児参加率は非常に低いことがわかります。

産後パパ育休(出生児育児休業)創設により、男性の育児参加を促し、女性に偏りがちな家事・育児を見直し、女性の就業機会の拡大、出産意欲向上、男女の雇用格差の改善につながることが期待されます。

出典:男性の家事・育児、育児休業に関するビジュアルデータ – 厚生労働省

産後パパ育休の申請・取得方法

産後パパ育休は、育休制度とは異なりそれぞれ取得が可能です。
(育休制度も同時期の2022年10月1日から、一部改正されています。)

産後パパ育休(新)育休制度(旧)育休制度
【対象期間】
(取得可能日数)
出生後8週間以内
(最大4週間まで取得可能)
1歳〜2歳まで同左
【申出期限】原則、休業開始の2週間前まで原則、1ヶ月前まで同左
【分割取得の回数】分割して2回取得可能
※期限までにまとめて申出
分割して2回取得可能
※取得の際にそれぞれ申出
原則、分割不可
【休業中の就業】労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能
(希望日のみや時短など)
※労使協定を締結している場合に限る
原則、就業不可同左
引用:https://ikumen-project.mhlw.go.jp/kaisei_point/ より要点を抜粋

具体的な手続きの流れは次の1〜4のとおりです。

  1. 労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出する
  2. 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
  3. 労働者が同意
  4. 事業主が通知
「産後パパ育休」と「育休制度」の取得参考スケジュール

改正後のポイントをまとめると以下のとおりです。
(1)父親は、産後パパ育休を2回・育児休業を2回の合計4回まで、分割して育児休業を取得できるようになります。
(2)育児休業を夫婦ともに2回まで分割できるようになるので、夫婦でそれぞれ交代できるタイミングで取得するなど、働き方の選択が広がります。

産後パパ育休中の育児休業給付金・社会保険料について

通常、育児休業中は会社から給与が支給されません。
しかし、要件を満たせば給付金の対象となったり社会保険料が免除となりますので、よくご確認ください。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休中の給付金)

産後パパ育休(出生時育児休業)期間中に受給する給付金は、名称が出生時育児休業給付金となります。
産後パパ育休中に労使協定により就業も可能ですが、10日以上勤務するなどの場合、給付金の対象とならないので注意が必要です

項目詳細
支給要件休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある。
(賃金支払基礎日数とは1ヶ月間の労働日数のこと)
※ない場合は就業している時間数が80時間以上の完全月が12か月以上あることが要件。

(2)休業期間中の就業日数が、最大10日以下であること。(10日を超える場合は、就業時間が80時間以下とする)
※10日以下とは、休業日数が28日間の場合です。28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。
・14日間の休業 → 最大5日
・10日間の休業 → 最大4日
支給額休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
申請期間出生日の8週間後の翌日から起算して2か月後の月末まで
例)出生日が令和4年10月15日 → 申請期限は令和5年2月末日まで

参考:令和4年10月から育児休業給付制度が変わります – 厚生労働省

雇用保険の育児休業給付金

産後パパ育休(出生時育児休業)中および育児休業中は、要件を満たせば、雇用保険の育児休業給付金が支給されます。

<受給資格>
(1)育児休業開始前の2年間に、雇用保険被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
(2)有期雇用労働者は、休業開始時に同一事業主の下で1年以上雇用継続されており、子が1歳6ヶ月までの間に労働契約が満了することが明らかでないこと

<支給額>
「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」
※休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前6ヶ月間の賃金を180で除した額
※育児休業開始から6ヶ月まで(6ヶ月経過後は50%)

参考:育児休業給付の内容と支給申請手続 – 厚生労働省

育休期間の社会保険料が免除

育児休業期間中は、下記の一定要件を満たせば社会保険料が自己負担分および事業主負担分ともに免除されます。
免除の要件は、「その月の末日が育児休業中である場合」となりますが、2022年10月以降は、それに加えて以下の要件が追加になります。

  • その月の末日に育児休業中でなくとも、同一月内で14日以上の場合
  • 賞与に係る保険料については、連続して1ヶ月を超える育児休業を取得した場合に限る

参考:育児・介護休業法の改正について – 厚生労働省(PDF:ページ30)

産後パパ育休の注意点

育休期間の就業可能日などに上限あり

産後パパ育休期間の就業可能日などには上限があります。

  • 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
  • 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間数未満
例)所定の「労働時間が1日8時間」で「労働日が5日」の者が、2週間の休業を取得する場合

通常2週間の「所定労働日は10日と80時間」であるため、休業期間中の就業可能日数と時間はその半分の「就業日数上限5日、就業時間上限40時間」となります。
※休業開始・終了予定日の就業は8時間未満とすること。

産後パパ育休に対するハラスメント

会社や職場によっては育休を取得しにくい方もいるかと思います。その場合は、育児休業等の申し出や取得を理由に、事業主が解雇や退職強要、正社員からパートへの契約変更などの不利益な取り扱いを行うことは禁止されていますので、担当部署などに相談するようにしてください。
今回の法改正で、妊娠・出産の申し出をしたこと、産後パパ育休の申し出・取得、産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかったこと等を理由とする不利益な取り扱いも禁止されます。
事業主には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。

ハラスメントの典型例
  • 育児休業の取得について上司に相談したら「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、取得を諦めざるを得なかった。
  • 産後パパ育休の取得を周囲に伝えたら、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき。」と言われ苦痛に感じた。

出典:育児・介護休業法の改正ポイントご案内 – イクメンプロジェクト(厚生労働省)

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