文部科学省は来年度の2023年度の予算概算要求において、記憶力や言語能力、数学などの特定分野で突出した才能を持つ児童生徒「ギフテッド」について、学校での学習支援やなじめずに孤立する状況を支援するために事業を開始する予定です。
※文部科学省は、ギフテッドという言葉を使わず「特定分野に特異な才能のある児童生徒」と表現することにしています。
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目次
ギフテッド教育事業を始める背景
ギフテッドは特定分野に突出した才能がある一方で、こだわりの強さや注意力の偏りなどを併せ持つ子がいます。その結果、いじめを受けたり授業が退屈で不登校になったりするケースが発生します。
こうした子が学校生活になじめるように、文部科学省は有識者による会議を昨年6月に立ち上げ、支援策を検討してきました。
ギフテッドに対する教育方針の変化
米国などにおいては「ギフテッド教育」として、古典的には知能指数(IQ)の高さなどを基準に領域非依存的な才能を伸長する教育が考えられてきました。
近年ではこれに加え、領域依存的な才能を伸長する教育や、特定分野に特異な才能と学習困難とを併せ持つ児童生徒に対する教育も含めて考える方向に変化しています。
知能指数IQなどが高い子(領域非依存的)
↓
「特定分野に特異な才能(領域依存的) + 学習困難」をあわせ持つ子なども対象に含む
ギフテッドを才能教育をする目的
才能教育というと個人が過度に強調される場合がありますが、国際水準の研究成果も現在は共同研究により生み出されることが多くあります。
そうした学際的で多様な才能が組み合わさることで、ブレイクスルーにつながることが注目されています。
ギフテッド教育で重視すること
学校においては、特異な才能のある児童生徒だけでなくそうでない子も含め、「個別最適な学び」を通じて個々の資質・能力を育成するとともに、「協働的な学び」という視点も重視し、児童生徒同士がお互いの違いを認め合い、学び合いながら相乗効果を生み出す教育が重要です。
具体的には、ICTも有効に活用して知的好奇心と学習意欲を高めたり、STEAM教育など教科等横断で実社会と関わるプロジェクト型の学びが有効に機能するのではないかと考えられます。
そのためには、学校でその学習を生かし、自他ともに学び合い成長する機会を設けること、学校における評価について整理を進めていくことなどが必要です。
また、大学や民間団体などの協力により学校外での学びができる環境も重要となります。
今回始める支援では、学習面だけでなく学校生活を送る上での困難を解決することも重視していく予定です。
映画「gifted / ギフテッド」
2017年に公開された映画「gifted / ギフテッド」では、7歳になって学校に通い始めたメアリーが、算数の授業で驚くべき数学の才能を見せます。
教育方針の違いや養育権などの争いなどドラマがあり、涙なしでは観られない感動のストーリーとなっています。
1番大切なのは、愛する才能。
ギフテッドの一例について理解を深めつつ楽しめるオススメの作品です。
【AmazonPrimeビデオ】2017, 1時間41分(レビュー評価☆4.3)