妊婦と赤ちゃんを支援「内密出産」初のガイドライン – 厚労省・法務省

ニュース「内密出産」初のガイドライン策定 - 厚生労働省・法務省

2022年9月30日、厚生労働省と法務省により「内密出産」の対応方法をまとめたガイドライン(指針)が作成・公表されました。

今回のガイドラインは、「内密出産」の法整備が曖昧な現状における、これまでの対応事例などを整理したものです。また、厚生労働省はあくまで「内密出産を推奨するものではない」としています。

各自治体や病院において、望まない妊娠・出産に悩む女性子どもの出自を知る権利を守り支援していくための対応方法についてまとめられています。

内密出産とは?

内密出産とは、妊婦が個人情報・身元情報を病院の一部の者だけに明らかにして出産することです。

国内で「内密出産」は法制化されておらず、身元情報を明かしたくない妊婦の受け入れ態勢が曖昧でした。そのため、孤立出産、乳児の遺棄事件などさまざまな社会問題が起きています。

本来的には、子どもの出自を知る権利の重要性出産前後に母子が得られる支援の観点から、妊婦がその身元情報を明らかにして出産することが大原則であり、関係機関が連携して身元情報を明らかにした出産が行われるよう説得することが求められます。
しかし、何らかの事情により医療機関において妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産せざるを得ない場合があります。

内密出産の対応病院「慈恵病院」(熊本市)

こうのとりのゆりかご」で有名な熊本市の慈恵じけい病院は、国に対して「内密出産」の法整備を求めていましたが現在の法律の範囲にとどまったままで曖昧な状態でした。
そのため、2019年にドイツの仕組みを参考にして「内密出産」を独自に導入し、これまでに5例の内密出産があったことを公表しています。

熊本市以外で、全国の「内密出産」の数については不明です。

内密出産のガイドラインの内容

今回策定されたガイドラインの一部内容について解説します。

主に次の4つの機関や自治体が「内密出産」の相談・出産・法的支援などに関わります。

  • 受入医療機関
  • 都道府県等
  • 児童相談所
  • 市区町村

妊婦が身元情報を明らかにすることに同意しない場合、受入医療機関における仮名などでの診療録等の作成することも可能としています。
また、必要以上に他者に身分が明らかになることを避けるために、児童相談所や市区町村の母子保健担当職員などとはオンライン会議形式で同席し、妊婦側のカメラはオフにして音声のみでやりとりするなど十分配慮することとしています。

子どもの出自を知る権利について

「子どもの出自を知る権利」については、児童の権利に関する条約において、「できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する」(第7条第1項)との理念を定められています。児童福祉法の総則においても、児童の権利に関する条約の精神に則った理念が改めて規定されています。

そのため、知る権利に関しては各医療機関において妊婦の同意の上、それぞれに合わせた規定を作成することとされています。
ちなみに、ドイツの制度においては、子どもが 16歳に達した後に母の身元情報の開示を行うとされています。

また、子どもの出自を知る権利を担保する観点から、可能であれば子どもへの手紙や、希望する子ど
もの名前、おもちゃ、物品その他子どもに託す物についても、医療機関等で管理することが可能な旨を説明し、母から提供があった場合には当該提供物について医療機関などで適切に管理し、子どもに引き継がれるようにすることとされています。

その他の詳細については以下のリンク先にてご確認いただけます。

PDF資料(462KB):妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産したときの取扱いについて(法務省・厚生労働省)

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