動画コンテンツ配信サービスの「ABEMA」にて、論破YouTuberで有名な「ひろゆき」と兵庫県明石市の「泉房穂(いずみ ふさほ)市長」が、他の出演者らと共に議論をしました。
議題は、明石市の子ども中心政策「明石モデル」についてです。
2011年に泉市長が就任してから独自の子育て政策を進めており、その結果、9年連続人口増加、出生率の上昇、税収増加などを実現しています。
これに対し、ひろゆきや他の出演者たちが議論をしました。
動画は以下のリンクより無料で閲覧することができます。(約30分)
本記事では動画の中で重要な点を3つピックアップしました。
目次
要点1:子育て「明石モデル」5つの無料化
泉市長は、無料化が目的ではなく市民に寄り添うことが大事だと考え、所得制限による区別がなく、一部自己負担なども必要のない子ども関連の無料化を実施しました。
そのために、子ども関連政策の予算は2倍以上にし、職員数も約3倍に増やしました。
結果、これらを実施するのに必要だった費用は約30億円。
一見多いように感じますが、この金額は明石市の一般会計に占める割合の約3%であり、特別会計費1.5%とあわせて実施することができているようです。
項目 | 内容 | 開始時期 | |
---|---|---|---|
1 | 医療費 | 18歳(高校生)まで無料 | 2021年〜 |
2 | 給食費 | 中学校の給食を無料 | 2020年〜 |
3 | 保育料 | 第2子以降の全員無料(年齢差制限なし) | 2016年〜 |
4 | 遊び場 | 利用料無料(親子ともに無料) | 2013,17年 |
5 | おむつ | 満1歳まで無料配布(宅配でお届けも可能) | 2020年 |
要点2:全国初!6つの施策
続いて、全国初の子ども関連の施策を6つ行なっています。
- 養育費の立て替え
- 親子の面会交流支援
- 無戸籍児の支援
- 児童扶養手当の毎月支給
- こども食堂をすべての小学校区ごとに開設
- 児童相談所の改革
また、子ども関連以外にも以下の政策を行っています。
ひろゆきは、この中の養育費の立て替えについて年間予算はどれくらいかかるのか質問しました。
泉市長は次のように回答しています。
「立て替え期間は今年度から最大でも3ヶ月、人数も子ども30人分程度、金額は合計で100万円程度で意外とほとんどかかっていない。」
「また、養育費を払っていない人には声をかけるという支援だけで払い始める事例もあり、立て替え分も明石市が養育者に請求することで次回からは直接支払うようになったりと、予算をかけずに上手く回っている。現状回収率は6割ほどで、難しい場合には今後裁判などを行なって対処していく予定だ。」
費用を立て替えるというのは、大きな予算が必要になるイメージがありましたが意外にも上手く回っているようです。
実は、ドイツやフランスなどのヨーロッパや隣国の韓国では養育費立て替えは法律下にあり、ひとり親世帯を支援する仕組みが整っています。
日本についてはまだ法律化しておらず、ようやく法務省で議論がはじまった段階です。
要点3:「明石モデル」のまわりへの影響は?全国でも実施できる?
明石市の政策に影響を受けて、明石市以外の周辺の自治体にも子ども医療無料化の広がりができてきています。
しかし、ひろゆきはこれに対し「それは明石市がやるからうちもやらないと人口が減ってしまうとの考えで仕方なくしているのでは?予算のない田舎の自治体で同じ政策は難しいのでは?」と、明石モデルの汎用性と悪影響について質問しました。
泉市長は次のように回答しています。
「それは半分正解で、半分は違う。たしかに他の地域からの流入があり人口は流れてきているが、これまで子どもを2人目、3人目と産むのに悩んでいた世帯の出生率の増加に寄与することができている。」
つまり、単純に日本の中で人口を奪い合っているわけではなく、出生率の増加に繋げることができているとメリットを強調しています。
そして、この「明石モデル」を全国でも実施できるかどうかについて、泉市長は次のように答えました。
「可能だと考えている。ただ先ほどの様に自治体によって課題が異なるため、一律で同じ政策をするのは難しい部分もある。」
まとめ
明石市での政策は、日本の少子化問題をすべて解決できるわけではありません。
泉市長も言うように、まずは「子どもを産みたいけど悩んでる人」など限られた方々に市長としてできること実行しています。子どもを産むことを考えていなかった人が新たに産むという状況までは、まだ多く実現できていないのも事実です。
少子化対策には、若者の賃金増加や、出産費用の補助など他に多くの課題があります。
このような新しい取り組みによって見えてくる課題や新しい発見があるため、各自治体が掲げる子育て政策に今後も注目です。
動画の最後に、泉市長はこのように話されました。
「経済を産業支援により回すのではなく、まず子育て世帯の経済的負担を減らせば生活に余裕が生まれ、お金を使い始める。つまり、子育て支援をすると地域に直接的にお金が回り始め、その結果、明石市の商店街はこれまでで最高利益をたたき出すことができた。」
「まさに、市民の財布のヒモが緩むような負担軽減をしていけば経済が回り始める。これを国がやっていくべきだ。」と話しました。
今後もikutech(育テック)では、各自治体の子育て情報をわかりやすく発信していきます。
参考リンク:明石市「子育て支援」
参考リンク:いずみふさほ(泉 房穂)オフィシャルサイト