【No.61】0歳の子どもが玩具のパーツを誤嚥して窒息!対策方法は?

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手術や事故の様子などショッキングな表現や画像が含まれる場合があります。

0歳9ヶ月の男の子が、玩具のパーツを誤嚥して窒息する事故が発生しました。
最終的に男の子は心拍は回復しましたが、ICU入院87日目に死亡しました。

玩具による誤嚥の事故は幼児(1歳8ヶ月~3歳 9ヶ月)に多く、死亡例や重篤な後遺症を残した事例などが報告されています。
どのご家庭でも起こる可能性がある事故のため、それぞれのご家庭で対策方法を学び、万が一に備える必要があります

本記事では、事故の原因や未然に防ぐための対策方法を日本小児科学会が公開した情報を元に紹介します。同様の事故が起きないよう、それぞれのご家庭で対策方法を学びましょう。

事故発生の原因

2015年8月9日の午前8時30分頃、家族が男の子(0歳9ヶ月)に離乳食(パン粥)一口とお茶を飲ませたところ、突然苦しそうにしだしました。
徐々に顔色が悪くなり、間もなく意識を失いました。

父が男の子を逆さまにしたり、胸部突き上げ法や人工呼吸を行いますが、救急隊到着時(窒息から21分後)には心肺停止状態でした。

救急隊到着後、直ちに胸骨圧迫が開始されました。口腔内を観察したところ人形に付属する玩具(1.0×1.2cm大のおしゃぶり)が見つかりました。異物はその場で取り除かれました。

病院の治療・手術

病院に到着後、胸骨圧迫を継続し、気管挿管、アドレナリン投与が行われました。
9時26分(窒息から56分後)に心拍が再開、低酸素脳症が考えられICUで全身管理がされました。
しかし、入院 87日目に死亡しました。

事故の起きた前日、家族は玩具の片付けをしました。
しかし、玩具に付属するおしゃぶりは容易に人形から外れる構造であり、気付かれずに床に落ちていたものを、男の子が食事前に口に入れ、食事の際に窒息に至ったと考えられます。

なお、玩具は対象年齢3歳児以上の製品であり、男の子の姉が遊んでいたものです。

類似傷害・事故

玩具による誤嚥の事例は幼児(1歳8ヶ月~3歳 9ヶ月)に多く、死亡例や重篤な後遺症を残した事例などが報告されています。

例えば、下記のNo.47の事例では木製の玩具の誤嚥が起きています。
事故の原因となった木製の玩具は、パーツがマジックテープで着脱できる構造になっており、すべて接着されていると口のなかにいれることは困難ですが、パーツに分かれることで2歳児の口の中にも入れることが可能でした。
玩具のパーツの一部分が原因となったという点で、今回の事例と類似しています。

また、幼児のスーパーボールの誤嚥も多い事故(No.3 / No.11)になります。
スーパーボールの取り扱いには注意しましょう。

予防と対策方法

鎮静下でMRI検査を施行された子どもの声門、声門下、輪状軟骨部の前後左右の径を計測した調査によると、生後9ヶ月程度の子どもの声門のサイズはおよそ2×6mm程度です。

今回の事例は、おしゃぶりのニップル部分が先進部であったとすると、声門に陥入し、気道の完全閉塞が起こり得る可能性のあるサイズです。事故の原因となった製品は、30年以上前から国内で販売され、現在では40カ国以上で販売されている人気の人形シリーズの玩具です。
このシリーズは日本玩具協会が定める玩具安全(ST)基準もクリアしています。通常この基準をクリアするためには、誤嚥を起こさない製品であることが確認されています。

本来直径が39mm以下の製品は誤嚥の危険性があるため、基準をクリアできません。今後は製品を分解してパーツごとに判断する必要があると言えます。
また、危険な大きさのパーツに分解できない状態する必要があるとも言えます。

対象年齢3歳以上

ご家庭でできる対策は、子どもの身の周りにある小さなの製品は誤嚥や窒息の危険性があるため、子どもの周辺から除外することです。

もし子どもに窒息の可能性がある場合は、以下の処置を行いましょう。

「あめ玉」などを飲み込んで窒息の可能性がある場合の対処方法
出典:窒息 | こどもの救急
1歳未満の乳児の場合

意識がある場合:「胸部突き上げ法」と「背部叩打法」を数回ずつ交互に行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

1歳以上の幼児の場合

意識がある場合:「腹部突き上げ法」を行います。
意識がない場合:心肺蘇生(CPR)を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。

出典:公益社団法人日本小児科学会「No.061 玩具のパーツによる窒息

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