2022年4月下旬頃、栃木県内の10歳未満の女児が、新型コロナウイルスに感染したことによる急性脳症で死亡しました。
治療した自治医科大(下野市)は、新型コロナによる急性脳症で10歳未満が死亡したのは国内初とみています。
2022年5月下旬頃には、同じ栃木県内の5歳未満の女児も同様に急性脳症となり、体に麻痺が残りました。
子どもは一時、自発的な呼吸ができなくなるなど重症化し一命は取り留めました。しかし、脳の広い範囲に障害が起きたため、今も体の一部に麻痺が残った状態で入院しているということです。
県や自治医科大によると、2人とも基礎疾患はありませんでした。
目次
コロナ感染後の経緯について
死亡した女児は陽性判明後、発熱などがあったが検証だったため自宅で療養していたところ、容体が急変。自治医科大とちぎ子ども医療センターの集中治療室(ICU)で治療したが、翌日4月29日に死亡しました。
ワクチン接種が可能な5歳に達していましたが未接種でした。
急性脳症について
急性脳症は、新型コロナに限らずウイルスなどに感染した体の免疫機能が過剰に働き、「炎症性サイトカイン」という体の免疫機能の物質が過剰に出ることで起きます。症状としては、意識障害やけいれんなどが起きます。
この女児は、年間10例程度しか報告されない「出血性ショック脳症症候群」だと診断されました。
同センターの村松一洋准教授は、子どもが新型コロナウイルスに感染することは多いが死亡するケースは「極めてまれ」だとし、「急性脳症はどんな子でも発症する可能性がある」と指摘します。
「新型コロナでついに急性脳症が出てしまった、という思いだ。意識がもうろうとしている、元気がない、会話が成り立たない、興奮しているなどの状況が続いたら急性脳症の発症が疑われる。医療機関を受診してほしい」と呼びかけており、コロナも急性脳症を引き起こすリスクがある点に警鐘を鳴らしています。
最近の傾向について
一方、オミクロン株の流行下では「クループ症候群」と呼ばれる症状も目立つようになってきている。犬がほえるようなかん高いせきが特徴で、村松一洋准教授は「せきが止まらず、息苦しさが続くようなら注意が必要」と説明しています。
「日本小児神経学会」によると、ウイルスへの感染がきっかけで「急性脳症」になる18歳未満の子どもは国内では年間500人〜800人いると推計されています。
このうち5%が死亡し、36%になんらかの後遺症が残るということで、子どもにとってはリスクが高い疾患です。
ただ、発症のメカニズムについては、解明されていない部分も多いということで、今後、臨床データを集めるなどさらなる研究が必要だということです。
「日本小児神経学会」のメンバーで東京都医学総合研究所の佐久間啓医師は「新型コロナへの感染に、どれほど急性脳症になるリスクがあるかは今後の研究テーマだ。来月2日から開かれる学会でも意見交換したい」としています。
感染予防対策について
引き続き、感染を未然に防ぐ予防対策が大切です。
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※この記事は、コロナワクチンの接種を推奨する内容ではありません。専門家のもと、ご家庭の環境などに合わせて各自でご判断ください。