「出産育児一時金」の増額を首相へ要望、それでも自己負担額を下回るのはなぜ?

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「出産育児一時金」の増額を首相へ要望、それでも自己負担額を下回るのはなぜ?

2022年5月16日(月)、出産にかかる費用が高額で経済的に負担になっていることから、自民党の議員連盟は岸田文雄首相に「出産育児一時金を現在の42万円から、40万円台半ばに引き上げが必要」との内容で、提言書を提出しました。

出産費用は増加傾向にあり分娩方法や地域差などもありますが、平均で50万円ほどかかります。東京都などの都市部では自己負担額が出産育児一時金を数十万円上回ることもあります。
また、無痛分娩(和痛分娩)の場合は、麻酔などの医療行為が必要でも保険適用外のため、10~20万円ほどの追加費用が必要になります。

項目金額
入院料 ※平均6日112,726円
室料差額 ※個室など16,580円
分娩料254,180円
新生児管理保育料50,621円
検査・薬剤料13,124円
処置・手数料14,563円
産科医療補償制度15,881円
その他28,085
妊婦合計負担額505,759円
出典:公益社団法人国民健康保険中央会による調査「正常分娩分の平均的な出産費用について 平成28年度(2016年)」

この問題に関して厚生労働省は費用上昇の要因を分析しており、出産育児一時金の引き上げに向けた検討を本格化させる予定です。

提言書の内容について

『出産費用等の負担軽減を進める議員連盟』は、今回の提言書で「少子化の主な要因の一つは、経済的不安」であると指摘しました。そのため、出産育児一時金を「最低でも、基礎的な費用の上昇に見合う水準まで引き上げるべき」だと主張しました。

議員連盟の小渕優子会長は岸田首相との対談後、報道陣に対して次のようにコメントをしました。
「岸田首相は少子化の現状について大変ご心配されている。こうしたことをしっかり達成していくことが大変大事なことであるというふうにお話をいただいた。」と話しました。

出産の自己負担額が一時金を上回る理由は?

出産というのは基本的に病気の治療ではないため、帝王切開などのケース以外では健康保険などの保険が原則適用されません。

そこで高額な自費負担を軽くするため、加盟する健康保険などから出産育児一時金が支給されています。
また、出産費用を状況を踏まえて、2009年には支給される一時金の金額は「38万円だったのが42万円に増額」されました。

しかしその後、医療機関側が出産費用を増やしたため、全国平均では出産育児一時金を上回る、いたちごっこの状態が続いています。

出産費用が変わる主な要因は3つ

出産費用は、おもに3つの要因によって変わります。

  • 「環境」:地域、病院 or 診療所(クリニック)or 助産所、部屋のタイプなど。
  • 「タイミング」:入院や出産をする、曜日・時間帯など。
  • 「分娩方法」:自然分娩、帝王切開、無痛分娩など。

まとめ

今回提出された出産育児一時金の増額要望は、現状の42万円から40万円台半ばへという数万円の増額を要望したものの、出産費用の全国平均値である約50万円にすら届いていません。

仮に、出産育児一時金が50万円になったとしても、出産には大きなリスクがあり想定する平均値以上を大きく上回る費用になることも考えておかなければなりません。

政府は、日本の少子化問題の大きな要因の一つが経済的な負担が大きいことによるものであると把握しているにも関わらず、少子化問題の解決に向けた政策が本格的に行われていません。
現在、内閣府と厚生労働省にある「子ども・子育て支援」の部署は、2023年4月に発足をめざす「こども家庭庁」にて政策を充実させていく意向です。

こども家庭庁の具体的な政策や予算はまだ未定ですが、今後の少子化問題の解決に向けた抜本的な改革に期待します。

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